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Stable Diffusion入門 from Thailand 第37回

画像生成AIで比較!ChatGPT、Gemini、Grokどれを選ぶ?得意分野と使い分け【作例大量・2025年最新版】

2025年12月26日 17時00分更新

文● 田口和裕

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ハイブリッド使用──3つを連携させる「プロ級ワークフロー」

 単独でも十分強力な3つのAIだが、組み合わせることで、さらに高度な成果物を短時間で作れる。ここでは、ChatGPT、Gemini、Grokを連携させ「ありえない広告」を作成してみよう。

ステップ①:ChatGPTでリサーチ+プロンプト生成

 まず、ChatGPTに「1970年代の日本の家電広告の専門家」として振る舞ってもらう。

ChatGPTへの依頼:
あなたは1970年代の日本の広告デザインの専門家です。以下のリサーチと、画像生成AIへのプロンプト作成を手伝ってください。

【目的】
1970年代に「スマートフォン」が存在していたと仮定した、当時の広告ビジュアルを作成したい。

【リサーチして欲しいこと】
1. 1970年代の日本の家電広告の特徴(色使い、レイアウト、フォント、キャッチコピーのトーン)
2. 当時の家電製品のデザイントレンド(木目調、メタリック、ボタン配置など)
3. 1970年代の未来観(当時の人々が想像した「未来の技術」はどんなものだったか)
4. 当時の広告で使われた典型的な構図や演出

【最終的に作って欲しいもの】
上記のリサーチを踏まえて、画像生成AI(Gemini)用のプロンプトを英語で作成してください。

ChatGPTによって生成されたプロンプト

 ChatGPTは数十秒でリサーチを完了し、驚くほど詳細なプロンプトを生成した。1970年代の撮影技法(タングステン3200K、ハレーション)、デザイン要素(木目調、ブラッシュメタル、グリーンフォスファーディスプレイ)、広告レイアウト(ゴシック体、明朝体、箇条書き)、さらに当時の言い回し(「電子頭脳」「新方式」「ポータブル電子端末」)まで、時代考証が完璧だ。

ステップ②:Geminiで高品質な広告ビジュアル生成

 ChatGPTが作成したプロンプトを、そのままGeminiに投げる。約30秒で、1970年代の雑誌広告そのものが完成した。

Gemini

 木目調のテーブル、ブラッシュメタルの本体、グリーンの蛍光ディスプレイ、物理ボタン、スピーカーグリル——すべてが1970年代のデザイン言語で表現されている。広告レイアウトも完璧で、「未来の家庭に、新しい通信の形」「電子頭脳搭載『ミライフォン』新登場!」というコピー、スペック表、価格(¥49,800)、架空の企業名(ニッポン電子通信機器株式会社)まで、当時の広告を完全再現している。

 さらに印刷の質感まで再現されており、紙の質感、わずかなインクのズレ、CMYKオフセット印刷特有の色調——まるで古い雑誌をスキャンしたかのようだ。

ステップ③:Grokで動画化

 Geminiで生成した広告画像を、Grokにアップロードして動画化する。わずか5秒でBGM入りの動画が完成した。今はまだいろいろおかしなところがあるが、これもそのうち改善されていくことになるだろう。

 ChatGPTの調査力とプロンプト生成能力、Geminiのフォトリアリスティックな再現力、Grokの高速動画化——3つのAIの強みを組み合わせることで、クオリティーはともかく、これまではプロ用の機材で数時間かけて作る必要があった成果物をわずか5分で完成させることができた。

このワークフローが活きる場面

・アイデア出しのビジュアル化(プレゼン資料、企画提案)
・SNS投稿用のコンテンツ制作(バズ狙いの動画)
・クライアント向けのモックアップ作成
・ブログ記事のアイキャッチ+動画素材

 重要なのは、「どのAIが最強か」ではなく「どう組み合わせるか」だ。それぞれの得意分野を理解すれば、無料または月20ドルで、プロ級のビジュアルコンテンツを量産できる。

まとめ「どれも正解。だから全部使え」

 2025年の画像生成AIは、もはや「失敗しない」レベルに到達した。Gemini、Grok、ChatGPTのいずれも、複雑なプロンプトを正確に理解し、高品質な画像を生成できる。問題は「どれが最強か」ではなく、「どの個性が欲しいか」だ。

Gemini:フォトグラファー
 自然な色温度、正統派の構図、フォトリアリスティックな質感。英語の専門用語を使えば、プロ級の作り込みも可能だ。無料版の生成回数は公式には明言されていないが、1日数十枚程度は生成できる(プランや状況により変動)。生成速度は10秒前後と速い。画像右下にGeminiロゴ(視認可能な透かし)が表示され、加えて不可視のSynthIDも埋め込まれている(Google AI Ultraプラン以上では視認可能な透かしは非表示)。商用利用はGoogle Workspace with GeminiまたはVertex AI経由なら可能。日本語対応は極めて優秀で、文化的な文脈も正確に理解する。

Grok:インスタグラマー
 派手な表現、圧倒的な生成速度(5〜10秒)、1クリックで動画化。1回のプロンプト入力でスクロールすると画像が次々に生成され続ける独自の仕様で、実質的に大量の画像を生成できる。無料版のプロンプト入力制限は2時間ごとに10回程度、画像生成は1日3枚程度(変動あり)。アスペクト比は1:1、16:9、9:16など指定可能。画像内に「grok」ロゴの透かしが入る。無料で動画生成ができる唯一のAIだが、商用利用の規約は明確化されていない。日本語対応は標準的で、英語プロンプトの方が精度が高い傾向がある。

ChatGPT:職人
 複雑な日本語の指示を正確に理解し、忠実に再現する。無料版は1日2枚と制限が厳しいが、有料のPlus(月額20ドル)なら3時間で約40枚程度生成可能。生成速度は30秒〜1分程度と3つの中で最も遅い傾向があるが、細部まで正確だ。解像度は1024x1024の正方形のほか、横長・縦長にも対応。透かしは不可視で、商用利用も可能。日本語対応は優秀で、GPT-4oが自然に意訳してくれる。

 3つとも基本性能は十分に高く、どれを選んでも高品質な画像が生成できる。違いは「個性」と「得意な表現」だ。Geminiはフォトリアル、Grokは派手で速い、ChatGPTは精密で忠実——この傾向はあるが、プロンプトの工夫次第でどのAIも幅広い表現に対応できる。

 重要なのは、自分の好みと相性を見つけることだ。同じ被写体でも、AIごとに仕上がりの「味」が違う。どれも無料で試せるのだから、実際に使い比べてみるのが一番いい。創意工夫次第で、想像以上の可能性が広がる。

 さらに、3つを連携させるハイブリッド活用なら、それぞれの強みを組み合わせて、より高度な成果物を短時間で作り出せる。全部使ってみて、自分なりの使い方を見つける——それが、2025年の画像生成AIとの正しい付き合い方だ。

田口和裕(たぐちかずひろ)

 1969年生まれ。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイト等を中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事まで幅広く執筆。2019年よりタイ・チェンマイに移住。
 新刊:発売中「生成AI推し技大全 ChatGPT+主要AI 活用アイデア100選」https://amzn.to/3HlrZWa

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