NTTが作る「光の街」とは
NTTが、通信会社の枠を超えた“都市づくり”に本腰を入れる。
NTTは今月、次世代情報通信基盤「IOWN」を街に実装する「光の街づくり powered by IOWN」を、東京・日比谷で始動することを明らかにした。
この発表を象徴するのが、2031年竣工予定の「NTT日比谷タワー」だ。NTTは本社も同タワーへ移転する計画で、これは、かつて日本電信電話公社が本社を構えた地への“回帰”でもある。
NTT日比谷タワーは、建物/エネルギー/都市空間を包括的に、IOWNを前提に設計し、次世代の「働き方」「街の使われ方」「電力の使い方」を構築する構想を持っている。事業はNTT都市開発と東京電力パワーグリッドが担い、NTTアーバンソリューションズが街づくり全体を統括する方針だ。
超低遅延/大容量通信技術のIOWNの活用は、世界中の拠点とリアルタイムでつながるオフィス環境を整備することにつながる。まだ具体的な目処は立っていないものの、ホログラフィック技術を組み合わせて海外拠点のメンバーと打ち合わせをするなど、これまでにない未来的なオフィス環境の構築を目指す。
グループが持つ技術を結集
NTT日比谷タワーの竣工にあわせて、街の表情も大きく変わることになる。
日比谷公園と直結する低層部には、壁と天井を一体化させた巨大LEDビジョンを備えるアトリウム空間を整備。企業の新製品発表を世界同時配信で実施する拠点としたり、エンターテインメントの会場になったりと、オフィス街の常識を超えた活用を見込む。さらに将来的にはXR技術なども取り入れ、リアルとバーチャルを融合させた体験の提供も視野に入れている。
また徹底した省エネ設計も特徴のひとつ。オフィス部分ではエネルギー消費を半減させる「ZEB Ready」を実現しているほか、光電融合デバイスやAI制御によってCO2排出量も削減できるという。
少子高齢化や人手不足、エネルギーの供給など、課題が山積する日本。NTTはIOWNを“通信インフラ”ではなく、“社会の基盤OS”として使うことで、次世代の、新たな街の姿を生み出そうとしているようだ。











