
「α世代」が消費トレンド分野の
将来性スコアの伸びで1位
若い人たちが「Z世代」と呼ばれて久しいが、彼らよりも若い世代も徐々に世に出てきている。スマートフォンやSNSが当たり前の環境で育ったZ世代に対し、そのさらに後ろに続く世代は、生まれたときから動画配信や生成AI、アルゴリズムによる推薦に囲まれてきた。
彼らにとってデジタルは「使いこなすもの」ではなく、「空気のようにそこにあるもの」だ。大人たちが世代論としてZ世代を語っている間にも、次の世代は静かに価値観を形づくり、社会との接点を増やしつつある。
日経BPは2025年12月9日、独自調査レポート「トレンドマップ2025下半期」に基づく「今後伸びるビジネス」ランキングを発表した。消費トレンド分野の将来性スコアの伸びが1位(前回比で0.53ポイント増)となったのは、「α世代」だった。

α世代は2010年以降生まれの世代を指し、スマートフォンやSNSへの接し方に従来世代とは異なる特徴が見られるとして注目が集まっている。
α世代の特徴として、「スマートフォンやSNSへの依存度が低い」「AIからの情報を信用する」といった点が挙げられるという。スマホやSNSが存在するのが当たり前なことから特別視せず、通信ゲーム機やタブレットなどのデバイスをやりたいことや目的に合わせてマルチタスクで使い分けられることなどが特徴とされる。
Z世代とは違った価値観であることから、寄りそう形で斬新なサービスが生まれて活況を呈する可能性が高いことに注目している専門家が多い。
将来性スコアの伸長で注目は「AIエージェント」
このランキングは、日経クロストレンド編集部が全95のキーワードについて将来性と現時点での経済インパクトをスコア化し、前回調査との比較から注目すべきトレンドをランキング化したもの。
調査では、各キーワードの「将来性スコア」の伸びを重視し、前回調査からの増減幅を基準にランキングを構成している。
マーケティング分野では「AIエージェント」が最も将来性スコアを伸ばし、テクノロジー分野では「空飛ぶクルマ(VTOL)」がそれぞれ上位に位置付けられた。
AIエージェントは生成AIの進化を背景に、人間の意図を理解し外部サービスへのアクセスや作業を支援する機能が評価された点が特徴とされている。空飛ぶクルマは技術革新の象徴的なキーワードとして評価された。
「リテールメディア」が
経済インパクトの伸びでジャンル別1位に
トレンドマップ2025下半期「マーケティング分野」の例
一方、経済インパクトの伸びが大きいキーワードとしてマーケティング分野の「リテールメディア」が挙げられた。
リテールメディアは小売チェーンが顧客向けに提供するアプリや店内のデジタルサイネージをメディア化し、広告収益源として活用するトレンドであり、国内の小売事業者における導入拡大が評価されている。
“AIネイティブ”として育つα世代の動向は、消費やマーケティングの前提そのものを変えつつある。次の成長市場を見極めるうえで、その価値観や行動様式をどう捉えるかが、今後の重要な視点となりそうだ。








