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「1000回あたりの検索頻度」は2015年比でおよそ1.8倍に増加

クックパッドで「ちくわ」と「カニカマ」の検索数が増えた意外な理由

2025年11月17日 12時00分更新

文● モーダル小嶋/TECH.ASCII.jp

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 検索数の増加は世相を表す鏡だ。特定のキーワードが注目を集めるとき、人々の不安や期待、あるいは日常の変化がその背後に潜んでいる。新サービスや脆弱性、トラブルに関連する語句が突如として上昇するたび、現場の視線やユーザーの行動がどこに向いているのかが浮かび上がる。

 クックパッドは、運営するレシピ検索サービスのログデータをもとに、魚肉練り製品(「ちくわ」「カニカマ」など)の検索動向を調査。物価高が続くなか、これらが手頃なタンパク源として再評価されているという。

 調査によれば、「ちくわ」の検索SI値(検索インデックス、1000回あたりの検索頻度)は2015年の3.38から、2025年10月時点で6.24へとおよそ1.85倍に増加。あわせて「カニカマ」の検索SI値も2015年の1.49から2025年10月に2.63へとおよそ1.77倍となった。

 背景には生鮮魚介類の価格上昇があるという。例えば、秋サケ(100gあたり)は2015年に282円だったのが2024年には521円、2025年1〜8月平均では529円とおよそ85%の上昇を示した。イカも2015年の96円から252円へと約163%の上昇を記録している。

 これに対し、魚肉練り製品は比較的価格上昇が抑えられており、ちくわの小売価格は2015年の102円から2025年1〜8月平均で133円と緩やかな上昇にとどまっている。また、同時期の鶏肉価格は136円から151円へ上がっており、ちくわが鶏肉よりも安価なタンパク源として優位性を保っている。

 さらに、検索キーワードには「サラダ」「ナムル」「炊き込みご飯」など、用途の多様化も見られる。「ちくわ」では「サラダ」が2022年以降に2位に浮上し、「ナムル」が2025年に初めて11位にランクイン。「カニカマ」でも「サラダ」が定番化し、「炊き込みご飯」が2025年に19位に登場している。

クックパッドが提案する「ちくわ活用レシピ」の例

クックパッドが提案する「カニカマ活用レシピ」の例

 また、市場規模にもその変化が現れており、食品需給研究センターがまとめた2025年1〜8月期の魚肉練り製品生産量は、前年同期比13.1%増のおよそ26万トンとなった。

 クックパッドは、包丁を使わずに調理できる魚肉練り製品が共働き世帯や時短ニーズの高い家庭に支持されていると分析しており、調理時間の短縮が進むなかで手軽な食材としての立ち位置が強まっていると伝えている。

 あわせて、今後もこうした家庭の「限られた予算と時間」のなかでの創意工夫を支援し、「毎日の料理を楽しみにする」人を増やす活動を継続していくとしている。

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