「Country Digital Acceleration」プログラム責任者に聞く
各国のデジタル政策とDX加速を支援 シスコ「CDA」6年目の日本は新たな段階に
2025年11月13日 09時00分更新
超高齢化社会・日本にシスコが貢献できることとは
――ヘルスケアのデジタル化について。日本では、2030年に電子カルテの普及率100%を目指しています。一方で、医療現場も高齢化が進み、ランサムウェア攻撃への懸念などもありデジタル化は遅れていると言われています。
ディードリック氏:シスコは“成果から逆算する”アプローチを取っています。達成したい目標を聞き、現在の状況からその目標に到達するためのロードマップを作成します。これが「CDAモデル」です。そして、シスコが提携する世界3万5000社のパートナーの力を借りて、最適なソリューションを組み立てます。
すべての病院は、患者のカルテ記録をデジタルで持つ必要があるでしょう。これは日本だけでなく、世界中の動向です。シスコは世界を安全に接続することを生業としており、そのテクノロジーを使うことで、電子カルテなどのデジタル記録の安全性を確保できます。
例えば、シスコは日本のある病院と協力して、安全な病院環境の構築を支援しました。サイバー攻撃により診療を中断せざるを得なくなるような事態は避けたいと考えて、セキュリティを強化した事例です。また、ヘルスケアのコストとサービス提供のバランスがどうあるべきかなどについても、関係者と議論を続けています。
日本は世界で最も急速に人口の高齢化が進んでおり、同時に若年層の補充が不十分という、人口バランスが少し歪んでいる状態にあります。シスコが技術面でできる支援は、高齢化する人口と高齢者の支援を効率化すること。最善の方法は高齢者を病院にずっと入院させるのではなく、高齢者が本当に必要な時に病院を利用し、普段は在宅でケアが受けられるようにすること。ここでネットワーク、セキュリティ、そしてAIといったシスコの技術は大いに役立つことができると考えています。
ヘルスケアと直接は関係ありませんが、北海道・岩見沢市では、コネクテッド農業のプロジェクトを展開しました。岩見沢市は高齢化が進んでおり、農業をより効率的にしたいというニーズがありました。シスコの技術を用いて、ローカル5Gを使って農機を監視・制御するといったことが実現しています。
デジタル時代の真の通貨は、データではなく「信頼」
――ガイさんは、CDAの立ち上げからこれまで10年間運営されてきました。そこから得た「学び」があれば教えてください。
ディードリック氏:2つの重要な学びがあります。
まず、世界中のリーダーたちは非常に思慮深く、自国民と国家にとって最良のことを望んでいるということです。彼ら、彼女らはさまざまなプレッシャーを受けています。我々がCDAプログラムを通じて「どのように支援できますか」と持ちかけることに、感謝の言葉をいただきます。
2番目の学びとして、多くの人は、デジタル時代の通貨は「データ」だと思っていますが、それは違うということです。データは重要ですが、デジタル時代の真の通貨は「信頼(Trust)」です。
信頼は、相互に作用することで築き、成長させることができます。われわれはそのままでは脆弱な存在です。リーダーがシスコを信頼してデジタル化のジャーニーの支援を受け入れる時、そこには脆弱性があります。われわれも脆弱な存在です。お互いのために成果を重ねるたびに、信頼が積み重なっていきます。
10年間、CDAを展開してきたことで、シスコが世界で築いた信頼は確固としたものになったと実感してます。
――日本で第3ラウンドがスタートしましたが、日本におけるCDAの展望と期待について教えてください。
ディードリック氏:日本で第3ラウンドを行う理由は、日本がCDAプログラムの価値を本当に理解しているからです。日本で行われているイノベーションは世界でもトップクラスです。
来日中のミーティングはどれも生産的なものでしたが、最も重要なのは、顧客からシスコへ、シスコから顧客へと、双方向の温かさと感謝の気持ちがあることです。これは将来の繁栄と機会の基盤となることでしょう。








