このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

AIと共に働くということ 第1回

人と一緒に働く存在としてのAI

「AI」と、どんな風に付き合っていけば良いのだろうか?

2025年11月15日 09時00分更新

文● 貝塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

人間とAI、“どう”一緒に働いていこうか?

 かつては“新しいツール”や“試験的に業務に組み込んでみるもの”として語られることの多かったAIは、いまやビジネスの中核に入り込みつつある。

 “現在のAI”は何を得意とし、人間はどの領域で最大の価値を発揮できるのか。その最適な分業のあり方を考えることは、これからのビジネスにおける大きなテーマだ。

 本連載では、AIにまつわる現在の事情や、活用が進んでいるソリューションの紹介を通じて、その協働のかたちを考えてみたい。

 企業によるAI導入の意図や、実際の事例を整理していこう。

企業がAIを導入する意図とは

 AI導入の目的は、業種や職種によってさまざま。だが、大きく分ければ、次の3つの方向性に整理できるだろう。

業務の効率化
AIは、書類の作成やデータの整理、定型レポートの作成、メールの対応など、定型的で、かつルーティーン的な作業を自動化する目的に適している。

大量のデータの分析や、ナレッジの集約や体系化といった、「人力では時間がかかりすぎる作業」の高速化も得意分野だ。具体例としては、営業部門での顧客情報の整理や提案書の作成、経理部門での精査業務などが挙げられる。

データ活用による、意思決定のサポート
AIは、膨大なデータを分析した上で、市況の変化予測やリスク分析、潮流の傾向を出力することにも活用できる。例えば、マーケティング部門での需要の予測や、財務管理部門でのシナリオ分析、法務部門での調査などが典型例だ。

AIが「思案材料」を用意して、人が「決断」する。これもひとつの“協働”の形だろう。

従業員の能力の拡張/クリエイティブ作業のサポート
限られたリソースの中で、質の高いアウトプットを生み出すための支援ツールとしてもAIは活躍する。アイデア出しや企画の補助、コード生成やコーディング補助、デザイン支援、ラフ作成なども、この典型例だ。

AIが人の発想を“拡張”し、質の高いアウトプットをコンスタントに実現する“補助”をするという形での、協働と言えるだろう。

 3つの使い方に共通するのは、AIをプロセスに組み込んだ“分業的な”構造だ。こうした役割の明確化は、人とAIの理想的な距離を作る上で欠かせない考え方だろう。

 ロボティクスオートメーションとAIの組み合わせや、エージェント型のAIなど、業務の一部を自律的に実行するAIも登場し始めているが、複雑な判断や責任の伴う意思決定の多くは、依然として人間が担っている。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所