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日本オラクルとのタッグで「物流倉庫の『止まらない運用』」実現目指す

イトーキ・湊社長「AIを経営の中核に」 まずは物流自動倉庫向け予知保全サービス発表

2025年11月06日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「Oracle AutoML」を活用し、AIモデル開発/チューニングを内製化

 スマートメンテナンスやリモートメンテナンスに利用する稼働状態のデータは、ドーリーやリザーバーに追加したセンサーから、LCU経由でエッジPCに集約/蓄積される。

 スマートメンテナンスの異常検知は、あらかじめOCIクラウド上で構築/チューニングしたAIモデルを使い、ローカル(倉庫内)のエッジPCで処理する仕組み。サイバーセキュリティ上の懸念から、インターネット接続していないクローズド環境下でも利用できる。

 また、エッジPCが収集するフィールドデータには、それぞれの機器の通信ログや障害ログ、動作回数や動作距離、モーター情報などが含まれており、倉庫の設備担当者やITOKIのリモートメンテナンス担当者が参照することで、原因究明や対策実施をスピーディに行える。これらのデータは15年間分が保存され、ビッグデータとして活用される。

 なお、故障の兆候を検知した機器(ドーリー、リザーバー)に対しては、入庫制限をかけることもできる。このとき、新たな入庫のみを制限し、格納済み荷物の出庫は可能にすることで、運用への支障を最小限に抑えることができるという。

システム構成

(左)スマートメンテナンスの概要 (右)故障の予兆を検知した機器に対しては入庫制限がかけられる

 同サービスにおけるAIモデル開発は、共通基盤となる1次モデルの初期開発フェーズと、実際のサイト(倉庫)ごとにチューニングを行う社会実装フェーズという、2つのフェーズに分かれている。同じSAS-Rの機器を導入していても、サイトごとの環境の違いから、入力データにも差異が生じるためだ。

 顧客ごと、サイトごとのモデルチューニングを、イトーキのソフトウェア開発部門で内製化するために、重要な役割を果たしたのがOCI Data Scienceの「Oracle AutoML」だという。Oracle AutoMLは、与えられたデータに対する最適なアルゴリズムの選択、最適な特徴量の選択、ハイパーパラメーターの調整といった作業を自動化するサービスだ。これにより、データの専門家(データサイエンティスト)でなくとも、精度の高いモデルを容易に開発できる。

全体共通の1次モデルを開発したうえで、それを実際の導入環境(サイト)ごとに合わせてチューニングする

非専門家でもAIモデルの開発やチューニングができる「Oracle AutoML」を活用した

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