最新版「VMware Cloud Foundation 9.0」を紹介、NECはVCFベースのクラウドサービスを発表
パブリッククラウドを凌駕する“モダンプライベートクラウド”へ ―VMwareがイベントでアピール
2025年11月05日 08時00分更新
TKC:VCFを採用し、クラウドサービスのインフラを少人数で運用
同じくVCFの導入顧客としてゲスト登壇したTKCの有賀茂正氏は、同社が展開するクラウドサービスを支えるプライベートクラウド基盤としてVCFを採用し、少人数での運用を実現していることを紹介した。
会計事務所向け、地方公共団体向けなどの事業を展開するTKCでは、2011年からサーバー仮想化基盤としてVMware vSphereを採用し、現在では数千台規模のVMを運用している。同社のクラウドサービスはすべて自社で設計、構築、運用を行っているが、技術スタッフ部門であるインフラSEチームは8名のみで構成されている。このインフラSEチームと、システム開発やサービスオペレーションの部門との連携が重要であるため、VCFで共通のダッシュボードをカスタマイズ構築し、業務の標準化や連携を図っていると説明した。
「(今後、VCF 9にバージョンアップして)AI機能をログ分析に適用し、システムトラブルの“兆候”を検知できないかと考えている。これまでも、各種メトリクスにしきい値を設定して異常発生を検知することはできたが、しきい値の中で異常な動きをする場合には、なかなか検知ができなかった。そういったものもトラブルの兆候として予知できて、さらに自動的にリカバリできるのであれば、今後も少数精鋭で運用が継続できる」(TKC 有賀氏)
NTT:「ワット・ビット連携」の世界実現に向けたIOWN、そしてVCFへの期待
NTT チーフエグゼクティブフェローでIOWN Global Forumの会長を務める川添雄彦氏は、IOWNにより実現する「ワット・ビット連携」の世界とVCFとの関係を語った。なお、VMwareもBroadcomも、IOWN Global Forumの設立当初から参画しているメンバー企業である。
AI/生成AIの急速な普及に伴って、ITインフラの消費電力量増加も急激に加速することが見込まれている。それはデータセンターだけではなく、ネットワークにおいても同じだ。
「たしかに生成AIは便利で、本当に欠かせないものになりつつあるが、その裏で膨大なエネルギーを使っている。イノベーションは非常に重要だけれども、それが環境に対してどのような負荷を与えているのか、それも含めてわたしたちは考えなくてはならない」(NTT 川添氏)
そこで注目したのが「光」だ。光信号は長距離/大容量の伝送でも、電気信号ほどのエネルギーを消費しない。この利点を生かし、「低消費電力」「大容量/高品質」「低遅延」のネットワークを目指すのがIOWNである。具体的には「電力効率100倍」「伝送容量125倍」「遅延時間200分の1」のネットワークを目標に掲げる。
ちなみに、IOWNの特徴として「超低遅延性」が強調されることが多いが、川添氏は、それに加えて「ジッター(遅延のゆらぎ)」がなくなること(遅延時間が確定すること)が重要なポイントだと強調する。データセンター間でワークロードを分散処理させる場合でも、遅延時間があらかじめ分かっていれば(一定であれば)、同期的な処理も可能になるからだ。
こうしたIOWNの特徴は、遠隔のデータセンターどうしでデータの移動や分散処理が容易にするため、クリーンエネルギーを多く産出する地方にデータセンターを設置してエネルギー消費を効率化するワット・ビット連携の実現を後押しすることになる。
川添氏は、ワット・ビット連携を推進するためには、IOWNのようなネットワーク技術に加えて、コンピューターリソースやエネルギーを最も効率良く、経済合理性をもって利用できるようにする技術も必要であり、「分散したデータセンターをいかにバーチャルにつなげていくか、それはまさにVCFが目指している世界だと思う」と、ソフトウェア面からの貢献に対する期待を語った。








