最新版「VMware Cloud Foundation 9.0」を紹介、NECはVCFベースのクラウドサービスを発表
パブリッククラウドを凌駕する“モダンプライベートクラウド”へ ―VMwareがイベントでアピール
2025年11月05日 08時00分更新
AIサービス関連では「ソブリンAI」も重要なトレンドに
2つめの「サービスとしてのプライベートAI」については、プライベートAIのグローバル責任者であるクリス・ウォルフ氏が説明した。
AI分野において、VMwareでは3つの戦略を重視しているという。「オープンなエコシステム」「相互運用性」「顧客とパートナーの価値向上」の3つだ。ウォルフ氏はそう前置きしたうえで、AIサービス関連の最新発表を取り上げていった。
まずはNVIDIAとのパートナーシップ強化だ。ここでは、NVIDIAの最新GPUであるBlackwell B200やRTX Pro 6000のサポート、ConnectX-7 NICやBlueField 3 DPU(Data Processing Unit)のサポート強化によるダイレクトパスI/O、GPUパススルー、NVIDIA HGXリファレンスアーキテクチャのサポートといった強化点がある。
他方では、AMDとのパートナーシップ強化も発表している。こちらでは、最新GPUであるInstinct MI350の仮想化に対応する。ウォルフ氏は、VCFでプライベートAI環境を構築することで、利用するAIモデルも、GPUも自由に選択できるオープン性が得られると強調する。
ウォルフ氏が、もうひとつの重要なトレンドとして挙げたのが「ソブリンAI」だ。ウォルフ氏は、ソブリンAIで求められる要件として6つを挙げ、単にデータがリージョン内で保持されることだけでなく、運用管理においても主権が確保されること、データプレーンだけでなくコントロールプレーンもエアギャップ環境(外部とネットワークが遮断された環境)で動作できる必要があると説明する。もちろんこれらの要件は、VCFが得意とするところだ。
VCF 9のリリース以降、ソブリンAIを目的とした採用の勢いは加速しており、すでに80社以上が採用しているという。「現在は100社突破を目指している」(ウォルフ氏)。
AIサービスについても、現在開発中のイノベーションを紹介した。たとえばAI処理向けの高速ネットワーク、MCP(Model Context Protocol)対応のAIエージェント開発、OpenAI互換APIの実装などだ。
ウォルフ氏は、VCFが備えるモデルギャラリー、モデルランタイム、データのインデックス化/抽出、エージェントビルダーを使ったデモを披露し、これらのサービスがオープンソースベースの技術で構築されていること、エンドツーエンドのAIサービスが低コストで構築できることなどを強調した。
また、セキュリティとコンプライアンスの強化に向けたイノベーションとして、ランサムウェア被害の自動リカバリ機能を含む「VCF Advanced Cyber Compliance」オプションを紹介した。
NEC:自社のVCF運用ノウハウに基づくプライベートクラウドサービス発表
ゲスト登壇したNECの木村哲彦氏は、“クライアントゼロ”戦略に基づき、同社自身がVCFを社内プラットフォームとして導入していることを紹介した。クライアントゼロ戦略とは、先進的なテクノロジーやソリューションをまず自社で(“ゼロ番目のクライアント”として)導入し、そこで得られたスキルやノウハウを社会や顧客に還元していくという考え方だ。
こうしたVCFの自社導入を通じて得た知見を盛り込み、安全性、コスト、運用効率などを重視したマネージドサービスが、この日発表されたNEC Private Cloud Infrastructure powered by VMwareとなる。具体的には、同社の印西データセンターで運用する、顧客専有型でVCF環境を提供するマネージドサービスであり、特に「規制の厳しい業界のニーズにマッチするものと考えている」と語る。
「さらにNECでは、今後のエージェンティックAI時代に向けて『インテリジェントハイブリッドクラウド』を提唱している。AIを活用したクラウドのオーケストレーション、データマネジメント、統合活用など、ITインフラを意識することなく、目的に応じた最適なIT環境を自動的かつスピーディーに使いこなせるような仕組みを提供していきたいと考えている。こうした基盤をBroadcomとともに、VCFを活用しながら作り上げていきたい」(NEC 木村氏)








