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ファッションから衣料まで、着実に広がるAIコードアシスタントの活用事例を披露

「大げさではなく、Copilotは人命を救っている」 GitHub年次イベントで多数の事例紹介

2025年11月04日 11時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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供給が追いつかない医療問題に「オープンソースアプローチ」で対応

 オープンソースコミュニティの力を示す事例としてウッドワード氏が紹介したのは、インド発のOpen Healthcare Network(OHC)の取り組みだ。OHCは、医療分野でオープンテクノロジーを活用することで、政府や医療機関を支援するグローバルコミュニティである。

 インドでは、医療を必要とする人口に対して医師と看護師の数が圧倒的に不足しているという。OHCを2020年に共同創設したボーディシュ・トーマス(Bodhish Thomas)氏とジジン・チャンディ・ジョージ(Gigin Sunny George)氏は、「医療関係者が時間を節約できれば、その時間を患者と過ごすことができる」という明確なビジョンがあったと振り返る。

OHCの共同創設者であるボーディシュ・トーマス(Bodhish Thomas)氏(右)、ジジン・チャンディ・ジョージ(Gigin Sunny George)氏(左)

 創設当初は小規模なチームだったが、オープンソースコミュニティの力を借りて急速にスケールした。現在、OHCには1040人以上のコントリビューターがおり、コミット件数は1万件以上を達成している。このOHCが開発する患者ケア追跡/管理プラットフォーム「Care」を採用する病院は、インドの10州で1400病院まで増えており、影響する患者数は数百万人規模に及ぶ。両氏は「こうした成長は、すべてオープンソースのおかげだ」と語る。

 もっとも、医療にまつわる問題はコードだけでは解決できない。人命がかかった取り組みであり、信頼性や責任が問われる。そのため、OHCのコミュニティはITエンジニアや学生だけでなく、医師、看護師なども参加しており、GitHubのIssuesとDiscussionsの機能を使いながら課題を提起し、コードを書き、人々が実際に必要としているものを構築しているという。

 こうした取り組みの中で、GitHub Copilotは、コミュニティが開発した機能を拡張したり、GitHub上でコミュニティがイノベーションを起こしたりすることを可能にする「アンプ(増幅器)」の役割を果たしている。両氏は、CopilotによるCareの改善例を紹介した。

 従来、病院スタッフと管理者は、入院患者用の空きベッド(空床)を簡単に管理する方法を必要としていた。ベッドの使用状況を示すデータはすでにAPIで提供されていたため、これをアプリで可視化すればよい。そこでCopilot Workspaceを使い、ダッシュボードを作成することにした。Copilotがバックグラウンドで開発作業を進める間、チームはほかの開発プロジェクトに取りかかることができる。作業を終えたCopilotは、プルリクエスト(PR)を作成し、要約とともに通知する。このような手順で新たなダッシュボードコンポーネントを作成し、既存のアプリケーションに統合した。

 「大げさではなく、Copilotは人命を救い、患者ケアを改善することに貢献している」(トーマス氏)

Copilotが開発した病院向けのダッシュボード

 基調講演では、学生ハッカソンのプロジェクトも紹介された。その中には、手話を認識する手袋型コントローラーなどユニークなものもあった。ウッドワード氏によると、学生/教育機関向けプログラムの「GitHub Education」は、世界で1100万人の学生と教師に対して、無料または割引価格でのツールアクセスを提供している。

装着して手話を認識する「Crazy Controllers」

 ウッドワード氏は「世界を変える大きなプロジェクトも、個人に喜びをもたらす小さなプロジェクトも“同じ場所”からスタートする」と語る。そのスタート地点とは「好奇心」や「遊び心」であり、「もしもこんなことができたら?」という問いかけだ。

 GitHubも、単にコードを作り、公開する能力だけでなく「夢を見たり、創造したりする力」そして「多くの人にとっては不要でも、自分にとっては意味のあるものを作る自由」を保護しているのだと語る。ウッドワード氏は、GitHub創業期からの精神を「朝に夢見たものを、午後には形にする」と表現する。その理想が、Copilot=AIの力によって大きく現実に近づいている、とまとめた。

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