このページの本文へ

遠隔コミュニケーションへの自信が「ない」と答えた学生が多い

新社会人で「いきなりフルリモート」はさすがに不安 完全在宅勤務希望はわずか1割未満

2025年10月29日 12時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 新卒採用を控える学生たちは、テレワークにどのような意識を持っているのか。マイナビが実施した「2026年卒大学生キャリア意向調査(9月)」では、リモートワークへの理想と現実、そして対面コミュニケーションへの価値観が浮き彫りになった。

 本調査は、2026年3月に卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に、2025年9月23日~9月27日の期間、同社が運営する「マイナビ2026」会員(退会者含む)にウェブDMを配信して実施。有効回答数は1268名(文系男子219名、文系女子518名、理系男子299名、理系女子232名)。

 まず、およそ9割の学生がオンライン授業の経験があると回答しており、遠隔でのコミュニケーションに対して「自信がある」と答えた学生は30.7%だったのに対し、「自信がない」と答えた学生は42.1%であり、後者の方が11.5ポイント多かったことが明らかとなった。

 オンライン授業においては「集中のしづらさ」が最大の課題として挙げられ、自信がない学生では「ディスカッションや会話がしづらい(34.6%)」とコミュニケーション面の困難を実感している傾向が分かった。

 続いて、勤務体系の理想について聞いたところ、理想的なテレワーク日数では「週2日テレワーク(29.5%)」が最多。「すべて出社(28.5%)」が次に多かった。一方、「すべてテレワーク」と回答した学生はわずか4.8%にとどまった。

 また、入社予定先の勤務体系について「すべて出社」と答えた学生は48.9%に達しており、理想と見通しとのあいだにギャップが存在することが示唆される。

 テレワークに対するイメージについては、「テレワークでワークライフバランスが良くなる」と考える学生が80.5%と多数を占めた。

 しかしながら、「テレワークで職場のコミュニケーションがとりやすくなる」と考える学生は57.1%が「そう思わない」と回答。「テレワークで仕事がはかどる」との設問では最多が「どちらとも言えない(38.0%)」という、中立的・懐疑的な見方も散見された。

 コミュニケーション手段の理想像を尋ねたところ、雑談・休憩中の会話のシーンでは「対面(85.7%)」が圧倒的に支持されていた。一方、会議・ミーティングの場面では「WEB(24.3%)」という回答が最多となり、形式・目的によって手段の適合を学生自身が意識している様子がうかがえた。

 マイナビの調査担当者のコメントでは、学生たちはテレワークによってワークライフバランスが良くなるとの認識を持ちながらも、職場における雑談や休憩中の会話など、対面での感情的・非形式的なコミュニケーションの価値も非常に強く感じていると分析されている。

 また、直接顔を合わせることが安心感や信頼関係の構築に繋がるため、企業側も新入社員が円滑にコミュニケーションを取れるよう「対面の機会を意識的に設けること」が活躍や定着に寄与する可能性があるという見方を示している。

 2026年卒予定の学生たちはテレワークをワークライフバランス改善のツールと捉えつつも、出社・対面の重要性を改めて認識していることが推察される。

 企業の働き方設計においては、単にテレワークを推進するだけでなく、適切な対面機会やコミュニケーション支援の設計が今後ますます重要になるだろう。

■関連サイト

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所

MSIが変える、未来のクリエイターを育てる教育環境

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ