活動第一弾として、“業界の定義書”である「デジタルテスト白書」を公開
民間検定から国家資格まで“いつでもどこでも”試験が受けられる国に 「デジタルテスト推進協会」が始動
2025年10月27日 08時00分更新
受験者からは「場所や日程の自由度」への期待が突出
ここからは、初刊行された「デジタルテスト白書2025」の内容を抜粋して紹介する。本白書は、デジタルテストのニーズを包括的に調査・分析して、「受験者が求める試験サービス」を提供するための“業界の定義書”として提供される。協会のウェブサイトにも2025年10月27日に公開されている。
まず、第1章では、デジタルテストの現状をまとめている。白書では、デジタルテストの対象を7領域に定義。掲げる使命同様に、試験業務の包括的なデジタル化を提示している。
【デジタルテストの対象領域】
1.受付のデジタル化
2.問題作成(作問)・管理のデジタル化
3.試験実施のデジタル化
4.本人認証、試験監督、不正監視のデジタル化
5.採点のデジタル化
6.認定証発行のデジタル化
7.データ管理・分析のデジタル化
また、対応する場所(会場かリモート)や日程(一斉か随時か)に応じて、4つの実施形態に分類。厳格性と利便性のつり合い、運営の負担、期間設計、技術要件などから検討すべきとして、各形態のメリットやクリアすべき条件をまとめている。
【デジタルテストの実施形態】
1.テストセンター随時受験
2.特設会場・テストセンター一斉受験
3.リモート監視型一斉受験
4.リモート監視型随時受験
3章~6章では、受験者へのアンケート調査の結果を公表している。本調査は、過去3年に資格検定を受験したことのある約1000名に対して実施されたものだ。
「デジタルテストに期待すること」という質問には、「会場の自由度」(50.2%)という回答が最も多く、「試験日程の柔軟性」(44.1%)が続き、時間と場所を選択できる仕組みが望まれていることが明らかになっている。さらに、自宅での受験を希望する受験者は83.8%に達し、一斉受験(30.2%)よりも随時受験(54.4%)を希望する受験者が上回ったのは、協会でも予想以上の結果だったという。
また、デジタルテストで不安に感じることに関しては、「操作ミスによる失点」(54.4%)がもっとも多く、「通信トラブルや機器不良」(44.6%)が続いた。
こうした不安はありつつも、実際の経験者がデジタルテストに満足した比率は9割を越えており、「快適な環境で受験ができる」「結果がすぐ分かる」点を評価する回答が多かった。一方、改善が必要な点としては、「操作性」(44.9%)や「試験監督の案内や充実」(31.9%)、「不正防止策の強化」(31.2%)などが挙げられた。
また、白書では、デジタルテストの国内外の最新動向を受けて、日本では「3つの柱」による統合アプローチが有効と提言している。
第一の柱は「マイナンバーをID基盤としたシームレスな資格管理」。第二の柱は「国際標準への準拠と、そのための国際的な相互運用性の確保」。そして、第三の柱が「AIと人を組み合わせたハイブリッド型の監視モデルの導入」だ。「政府が標準策定とID基盤を提供して、民間が技術開発で競争する官民連携モデルが望ましい」(佐藤氏)












