1万2000円で小さなブースを目立たせる
回転型LEDディスプレーは、「3Dホログラムディスプイファン」などの名称で売られている商品です。高速で点灯するLED列を同期点灯させて素早く切り替えつつ回転することで、残像を生み出し面や立体が見えるようにする方式です。原理自体は19世紀からありましたが、2016年頃から店頭でのデジタルサイネージとして応用が広がるようになりました。ホログラムと言われたりしますが、実際は残像によって空中に浮いて見える2Dや疑似3Dのため、本当の意味でのホログラムではありません。
これらのものは中国製を中心に、様々なハードウェアが販売されており、アマゾンでも購入することができます。筆者が購入したのは、中国ASHATAというブランドの「F30」という製品です。直径が30センチのサイズで、価格が約1万2000円のものでした。
地味な点ではありますが、ファンカバーと台座が付いているのが重要です。
最初はファン部分がむきだしになっていて、台座がなく壁に固定する形式の5000円台のものを買ったのですが、テストで電源を入れると、即座に高速に回転し始め、重心が固定されていないために、机に衝突し、羽の1枚が折れて破損してしまいました。動かして3分も経っていませんでした。安全対策が何も施されていないので、初心者が触るには危険すぎると感じました。しかし、次に買ったこの製品のようにファンカバーと台座が付いているだけで、そうした危険性は大きく軽減できます。
近年はハードだけでなく、ソフトウェア的にも簡単に扱えるようになっています。指定のスマホアプリをダウンロードして、スマホからスポットWi-Fiを使って動画や静止画のデータを内蔵のマイクロSDカード転送するようになっており簡単です。操作もスマホから扱えるようになっています。Bluetoothにも対応しているため、動画に音声が付いている場合には、音をBluetoothスピーカーで出力することもできます。
小さな扇風機くらいのサイズですが、一般的なモニターに比べてかなり輝度が高いため、映像を表示するとブースでものすごく目立つんですね。ここだけで、多くの人が足を止めていきます。半透明にも見えることもあり、「どうなっているんだ?」とのぞきこむ人がたくさん出ました。このモニターを見てもらい、2分あまりの動画が再生されるのを見るうちに予告編を流しているモニターに目線を動かしてもらい、興味を持った人にはSteam Deckでプレイしてもらうという運用になりました。
なかにはディスプレーの写真や動画だけ撮って、本編のゲームは見ないという人もいたくらいです。しかし、回転するLEDの残像の全体像をシャッタースピードの速いスマホのカメラではうまく捉えることが難しいのですけどね。
重要なこととして、このディスプレーはAIと相性がいいんです。テキストを表示したり、3Dオブジェクトを表示したりとか、事前に用意されているテンプレートも公式アプリからダウンロードできるのですが、それ以上に、動画AIで作成したアニメーションを使うことは効果的であろうと予想し、実際その通りでした。

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