Stable Diffusion入門 from Thailand 第33回

初心者でも簡単！「Sora 2」で“プロ級動画”を作るコツ

「すごい！」と思わせるプロンプトのコツ

　Sora 2で質の高い動画を作るには、プロンプトの書き方にコツがある。海外のクリエイターが見つけた実践的なTipsをいくつか紹介しよう。

1. シンプルかつ焦点を絞る

　短めかつ要点を明確に指示するのが効果的。目安として120語（英単語換算）程度のプロンプトが良好な結果を得られる。詰め込みすぎると失敗しやすい。

2. 楽しく想像力豊かに

　コミカルで親しみやすい内容のプロンプトは成功率が高い。逆に難解で抽象的なテーマはうまく表現しきれないケースが多い。「魔法使いの格好をしたネコが呪文を唱える」といった軽い設定の方が魅力的な映像になりやすい。

動画例5：サングラスをかけた猫のドライブ

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— tagkaz_ascii (@tagkaz_ascii) October 10, 2025

プロンプト：A cool tabby cat wearing aviator sunglasses sits in the driver's seat of a vintage red convertible cruising along a coastal highway. Medium shot from passenger side angle. The cat's paw rests on the steering wheel, fur blowing in the wind. Ocean and cliffs in background, golden hour lighting. Camera slowly tracks alongside the moving car. Sound: engine hum, wind rushing, distant seagulls, 80s synthwave music faintly playing.

日本語説明：アビエーターサングラスをかけたクールなトラ猫が、ビンテージの赤いオープンカーの運転席に座り、海岸沿いのハイウェイを走行。猫の前足がハンドルに置かれ、毛が風になびく。海と崖が背景、ゴールデンアワーの照明。エンジン音、風切り音、遠くのカモメ、かすかに流れる80年代シンセウェーブ音楽付き。

　コメント：「車の構造どうなってんの？」と突っ込みたくはなるが、それ以外は合格。もう少し動きがあってもいいな、とは思った。

3. 「監督の言語」を使う

　映画製作の専門用語を使うと生成品質が飛躍的に向上する。「ミディアムクローズアップ、35mmレンズ、浅い被写界深度（depth of field）」「ハンドヘルドカメラでゆっくり被写体に近づいていく」といった具体的な指定が効果的だ。

動画例6：雨の東京ネオン街

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— tagkaz_ascii (@tagkaz_ascii) October 10, 2025

プロンプト：Rain-soaked Tokyo alley at night, neon signs glowing. A delivery person on a scooter adjusts their helmet. Medium close-up, 35mm lens, shallow depth of field. Handheld camera slowly pushes in. Wet asphalt reflects colorful lights creating mirror effect. Moody synthwave color palette with vibrant pinks, blues, and purples. No lens flares, maintain consistent color grading. Environmental sound: steady rain pattern, distant traffic rumble, scooter engine idle.

日本語説明：雨に濡れた夜の東京の路地、ネオンサインが輝く。スクーターに乗った配達員がヘルメットを調整。35mmレンズ、浅い被写界深度。ハンドヘルドカメラでゆっくり被写体に近づいていく。濡れたアスファルトがカラフルな光を反射し鏡のような効果。ムーディーなシンセウェーブのパレット。雨のパターン音、遠くの交通音、アイドリング音付き。

　コメント：「35mmレンズ」「浅い被写界深度」は合格だが、「ハンドヘルドカメラでゆっくり被写体に近づいていく」が完全に無視されている。プロンプトの見直しが必要だ。

4. 音声も細かく指定

　「都市の環境音：遠くの交通の低音、時々左から右へ通過する車の風切り音、コンクリートを擦る足音」といったように、空間関係と複数の音源を明示すると、没入感の高い音響空間が生成される。

5. 物理用語を使う

　「弾性衝突とリアルな反発動力学」は「うまく跳ねる」より効果的。物理学用語を使うとシミュレーション精度が向上する。

実は失敗シーンも得意

　従来のAI動画モデルは「成功バイアス」を持っていた。バスケットボールのシュートを指示すると、たとえミスを指定しても、ボールが不自然にゴールに「テレポート」することがあった。

　だがSora 2は失敗を正確にモデル化できる。「バスケットボール選手が3ポイントシュートを試みて外す。ボールはリングの裏に当たって跳ね返り、コートで2回バウンドして転がる」というプロンプトに従い、リアルな物理法則に従った失敗シーンを生成できるのだ。

動画例7：失敗するバスケシュート

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— tagkaz_ascii (@tagkaz_ascii) October 10, 2025

プロンプト：Basketball player attempts a three-point shot and misses. The ball hits the back of the rim, bounces high with realistic arc, hits the court floor twice with decreasing height, then rolls slowly toward the sideline. Low camera angle following the ball. Gymnasium acoustics: ball hitting metal rim with sharp clang, two distinct bounces on hardwood floor, fading rolling sound. Realistic physics with gravity and momentum.

日本語説明：バスケットボール選手が3ポイントシュートを外す。ボールはリングの裏に当たって跳ね返り、リアルな放物線を描いてコートに2回バウンド、その後ゆっくり転がる。金属リングに当たる鋭い音、床での2回の異なるバウンド音、転がる音が減衰していく。

　コメント：ボールの跳ね方など物理法則には忠実だが、肝心の「バスケットボールがリング裏に当たって跳ね返る」という要素が反映されていない。よく見るとゴールの形状もおかしい。