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初のコンシューマ向けサービス「パーソナルAIアシスタント」も発表

AI-OCRは完成した ― AI insideがデータ化精度“99.999%”を達成

2025年10月08日 15時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 AI insideは、2025年10月7日、年次のAIイベントである「AI inside Conference 2025」を開催した。

 キーノートにて、同社の主力サービスであるAI-OCR「DX Suite」のデータ化精度が「99.999%(ファイブナイン)」に達したと発表した。これは、最新の独自LLMと誤りを特定するAIを組み合わせることで実現している。

 加えて、同社初のコンシューマ向けサービスであるパーソナルAIアシスタント「Mee+」も披露した。

 AI insideの代表取締役社長 CEOである渡久地択氏は、「AI-OCRの一時代はここで完成した。999.99%の精度でデータ化をして、その先のデータ活用に向かってもらうのが我々の願い」と語った。

AI inside 代表取締役社長 CEO 渡久地択氏

AIエージェントの登場でDX Suiteも大幅進化

 AIエージェントをはじめとするAI技術が急進展したこの1年は、AI-OCRであるDX Suiteに大きな変革をもたらしている。

 2025年6月には、AI-OCRの仕組みに用いている独自LLMの最新版「PolySphere 3」をリリース。同LLMでは、ハルシネーションを0.25%に抑制して、非定型帳票に対する読み取り精度を平均95.1%に向上させた。渡久地氏は、「我々がDX Suiteをリリースしたのが2017年。非定型の帳票を読むニーズは常にあり、95%を超えたのは非常に大きな出来事だった」と振り返る。

 さらには、DX Suiteに同LLMを組み込み、AIエージェント機能を標準搭載した。エージェントが帳票設定の自動化やローカルフォルダの連携などを担い、今に至るまで、100億回を越える作業を代替してきたという。

DX Suiteに標準搭載されたAIエージェント

 加えて、2025年9月に実装したのが、誤りを検知するAI「Critic Intelligence(クリティック・インテリジェンス)」だ。

 現状、帳票処理では、AI-OCRによるデータ化後に、目視でのチェック作業が必要になる。特に高い精度が求められる領域では、複数名体制でチェックした上で、突合作業も発生する。Critic Intelligenceはこのチェック作業を代替するAIだ。

 人が誤りを特定できる精度は60%~80%といわれる中で、同AIは平均99.86%の精度を達成している(参考記事:AIにダメ出しするAI 「99.86%」の精度でデータチェックを自動化)。

Critic Intelligenceによるチェック作業の自動化

最新LLM+誤り検知AIでデータ化精度は「99.999%」に

 このようなDX Suiteの進化を経て、キーノートで発表されたのが、独自LLMの最新版である「PolySphere 4」だ。同LLMは、これまで実業務で役立つようなアップデートを続けてきたが、今回は“汎用的な能力”の強化を図っている。

 PolySphere 4では、非定型帳票に対する読み取り精度が、平均99.6%まで向上。有価証券報告書や請求書、財務諸表などだけではなく、原戸籍やタイムカード、はたまたナンバープレートまで、あらゆる帳票の構造化が可能になったという。

AI-OCRであらゆる非定型帳票が読み取り可能に

 これは単純に、PolySphere 3の読み取り精度(平均95.1%)を超えただけではない。PolySphere 3では、完璧に読み取れるものもあれば、苦手なものはまったく読めず、読み込み精度は0%~100%までバラツキがあった。

 PolySphere 4では、苦手な帳票の形式がなくなり、最低で90%、最高で100%、平均で99.6%の読み取り精度を実現し、幅広い業務で活用できる安定性を得ている。これらは帳票・12万項目をテストした結果だという。

PolySphereのAI-OSR精度の比較

 さらに、前述の誤りを特定できるCritic Intelligenceも併用することで、データ化精度が99.999%、可用性などの目標値に用いられるファイブナインに達したという。「これでAI-OCRのひとつの時代が完成した。どんな帳票を投入してもデータ化してくれる時代に突入した」(渡久地氏)

 なお、PolySphere 4では、「RAG生成・連携」や「ウェブ・データベース検索」、「AIコーディングによるアプリ開発」にも新たに対応。これによりDX Suiteでも、社内データベースと連携してAI-OCRをチェックしたり、入力完了後のコネクタを自動コーディングで実装したりすることも可能になった。

データ連携コネクタの自動コーディングのイメージ

 また、キーノートでは、RAG・AIエージェントの構築プラットフォーム「Leapnet」を、2025年10月20日より正式提供することも発表された(参考記事:AIビジネスを始めるなら“国産”で AI insideがRAG・AIエージェント“構築無料”の新基盤)。データ化の先にあるデータ活用をしたい企業、あるいはAIをサービスに組み込むことで新ビジネスを始めたい企業向けに展開されるプラットフォームだ。

 同プラットフォームは、データをアップロードするだけで簡単にマルチモーダルRAGが構築でき、RAGを活用するAIエージェントも自然言語で構築できる。RAGやエージェントの構築に費用はかからず、30秒50円のAPI料金のみで利用できるのも特徴だ。

 そして、キーノートの最後には、同社初のコンシューマ向けのAIサービスも発表された。

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