コアの数だけMMAが搭載されるためAI処理が高速になった
AI性能に関しての改良がIn-Core MMA(Matrix Math Accelerator)とSpyre(スパイア)アクセラレーターの接続である。Spyreアクセラレーターに関しては連載790回でも説明したが、もともとはTelum IIとあわせて発表されたPCIeカード型のAI推論用アクセラレーターである。
Telum IIと同時に発表されたからといってz専用ではなくPower11でも利用できるという話として、MMAの方はPOWER10時代に実装されたものである。
例えばMMAの性能が今回POWER10世代から倍増したわけではないようで、単にコア数がSKUによっては増えたことと、動作周波数が上がったこと、それとメモリー容量/帯域が増えたことで、従来よりAI処理が高速になったというだけのようだ
構造としてはインテルのAMXやArmのSME2と同じく、行列演算を一気に行なえるようにしたものであるが、AMXはアクセラレーターの形でソケットに1つだけ搭載されるし、SME2はコアクラスターあたり1つ(次世代は2つになるらしい)だけの搭載なのに対し、MMAはこれがコアの数だけ搭載されるわけで、下手な専用アクセラレーターよりも高速に処理できるかもしれない。
ここまででわかるように、POWER10からPower11への変更はあまり多くない。製造プロセスがあまり変わらないあたりが、マイナーアップデートの域を出ないことが示唆されている。メモリー周りの大幅強化で実効性能そのものは明確に上がっているかもしれないが、やや行き詰まり感がある。
そうしたことを踏まえてか、将来計画ではチップレット化による、より大量のシリコンの実装や歩留まりの向上、OMIの効率化などが示されている。
もっともzシリーズに比べると更新頻度がゆっくりなPowerシリーズなだけに、次の製品が出てくるのは2028年か2029年になるかもしれない。その頃だと製造プロセスは2nmを切ってるというあたりか? そろそろPowerとzの製品ライン統合があっても不思議ではない状況だが、本当にPower Futureは出てくるのだろうか?

この連載の記事
-
第859回
デジタル
組み込み向けのAMD Ryzen AI Embedded P100シリーズはZen 5を最大6コア搭載で、最大50TOPSのNPU性能を実現 -
第858回
デジタル
CES 2026で実機を披露! AMDが発表した最先端AIラックHeliosの最新仕様を独自解説 -
第857回
PC
FinFETを超えるGAA構造の威力! Samsung推進のMBCFETが実現する高性能チップの未来 -
第856回
PC
Rubin Ultra搭載Kyber Rackが放つ100PFlops級ハイスペック性能と3600GB/s超NVLink接続の秘密を解析 -
第855回
PC
配線太さがジュース缶並み!? 800V DC供給で電力損失7~10%削減を可能にする次世代データセンターラック技術 -
第854回
PC
巨大ラジエーターで熱管理! NVIDIA GB200/300搭載NVL72ラックがもたらす次世代AIインフラの全貌 -
第853回
PC
7つのカメラと高度な6DOF・Depthセンサー搭載、Meta Orionが切り開く没入感抜群の新ARスマートグラス技術 -
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 - この連載の一覧へ














