ASCII倶楽部

このページの本文へ

ASCII Power Review 第295回

「Sigma 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary」で実際に写真を撮り歩きました

本日発売!! 世界初の超広角10倍ズームSigma「20-200mm」実写レビュー=レンズ前2cmまで寄れた!!

2025年09月25日 00時01分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷



 シグマからフルサイズミラーレスの高倍率ズーム「Sigma 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary」が発売された。高倍率ズームの広角側は24mmもしくは28mmが一般的だが、より広い20mmという焦点距離を実現したのは画期的だ。

 レンズマントはライカ、パナソニック、シグマのLとソニーEが用意されている。発売前に「Sigma BF」と共に借用することができたので、実際に撮影して感じた印象をお伝えしていこう。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

9月25日発売予定で、量販店価格は14万3000円。

初の20-200mmズーム
手ブレ補正はカメラ側で

 

 広角側20mmから望遠側は200mmとズーム倍率でいうと光学10倍になるが、その割にサイズはコンパクト。鏡筒も細身でズームリングの操作もしやすい。全長は広角側が一番短く最大望遠時は約184mm(実測)まで繰り出す。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

「Sigma BF」に装着した状態。このレンズにはブラックボディーのほうが似合いそう。なおフードも付属している。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

サイズはLマウントが全長115.5mm×最大径77.2mm、重量は550g。Eマウントは全長117.5mm×最大径77.2mm、重量は540g。フィルター径はともに72mm。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

広角側と望遠側の繰り出した状態の比較。

 操作系はAF/MFの切換スイッチと持ち運び時にレンズがずり落ちないように広角側でロックするスイッチを備える。なおロックされた状態でもズームリングを少し回すだけでロックが解除され即座に画角が変えられる。なかなか気の利いた機能だ(メーカーが推奨しているかは不明)。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

レンズ側面のスイッチ類。

 ただ高倍率ズームにしては珍しく手ブレ補正機構は非搭載となっている。最初は気になったが、よく考えると現行のLおよびEマウントのフルサイズ機は「Sigma BF」や一部の動画専用機(LUMIXのBHシリーズやソニーのFXシリーズなど)を除けば、すべてボディーに手ブレ補正機構を搭載しているので、手ブレ補正はボディーに任せ、そのぶんサイズをコンパクトにするという考え方なのだろう。

描写はさすがのSIGMAクオリティー
10倍ズームでも破綻ナシ

 

 気になるのは画質だが高倍率ズームということでまずは焦点距離ごとの画角の違いを比較してみた。こうして並べてみると当たり前だが20mmの画角の広さがよくわかる。幅広い画角を1本で撮影できるのが高倍率ズームの特徴だが、ある程度はクロップで対応できる望遠側より広角側の焦点距離粋を広げてくれた方が利便性は高そうだ。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離20mm 絞り値F3.5-22

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離24mm 絞り値F3.9-25

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離28mm 絞り値F4.2-27

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離35mm 絞り値F4.8-29

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離50mm 絞り値F5.3-32

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離85mm 絞り値F6.1-38

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離135mm 絞り値F6.3-40

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離200mm 絞り値F6.3-40

 次に遠景でF値による画質の違いをチェック。中心部は広角望遠ともに十分な解像感があり、少し絞ると(広角側ならF5.6、望遠側はF8程度)より向上する。周辺部も同等の傾向で、さらに広角側でも像の乱れがほとんどないはのはお見事だ。

Ph6
シグマ「20-200mm」実機レビュー

F値による画質の比較。広角20mm中心部

シグマ「20-200mm」実機レビュー

広角20mm周辺部

シグマ「20-200mm」実機レビュー

望遠200mm中心部

シグマ「20-200mm」実機レビュー

望遠200mm周辺部

 なおレンズ補正の初期設定は回折補正がオフ、周辺光量補正はオート。歪曲補正の設定項目は無い。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

「Sigma BF」のレンズ補正画面。設定できるのは回折補正と周辺光量補正のみ。

 周辺光量低下は広角望遠ともに絞り開放でわずかに残した補正だが、試しに補正オフにして比べてみると効果があることがわかる。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

絞り開放F3.5で周辺光量補正オートとオフの比較。こちらがオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

周辺光量補正オフ

 回折現象による解像感低下は最小絞りの2つ前くらい(広角側ならF16、望遠側はF22程度)から感じられるが、ごくわずかなので最小絞りで撮影するのでなければオフのままでもいいだろう。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

最小絞りF22で回折補正オフ(写真左)とオン(写真右)の比較。

 歪みは歪曲補正の設定項目が無いことからわかるようにディフォルトで補正がされていて、広角側遠景はもちろん歪みの目立ちやすい近景でも気になることはなかった。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

直線的な被写体を広角20mmで撮影してみたが、特に歪みは気にならない。

近接撮影はレンズ前2cmまで可能
1/2倍マクロが撮れるのは便利

 

 最短撮影距離は焦点距離ごとに異なり20mmでは25cm、28mmが最も短く16.5cm。それから徐々に長くなり200mm時で65cmになる。

 注目なのは撮影倍率で、28mmから85mmの範囲で最大の1/2倍が維持され、マクロレンズ並の拡大撮影が可能になる。さすがに近接撮影時(特に絞り開放)では周辺の像が乱れるので、ある程度F値を絞りつつ被写体の配置を工夫するといいだろう。

 また最短撮影距離はセンサー面からなので、28mmではレンズ前2cm程度まで近寄れてしまう。誤って被写体に接触しないように注意したい。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離ごとに最短距離で撮影したときの拡大率を比較。なお撮影距離は実測で、いずれの焦点距離でも公称値より短かった。
焦点距離20mm:撮影距離約21.6cm、焦点距離28mm:撮影距離約163.cm

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離50mm:撮影距離約19.3cm、焦点距離85mm:撮影距離約23.5cm

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離135mm:撮影距離約41.8cm、焦点距離200mm:撮影距離約58.8cm

 自由に撮り歩いてみた作例もいつくか紹介しておこう。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離20mmで撮影。広い画角にくわえ遠近感のある写りは、都市部の風景と相性がいい。絞りF8・シャッタースピード1/125秒・ISO100・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離200mmで撮影。動体撮影が得意ではない「Sigma BF」でも偶然に上手く写った一枚。なんか得した気分。絞りF6.3・シャッタースピード1/2000秒・ISO3200・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離29mm、ほぼ最短撮影距離で撮影。多少像の乱れはあるが広角マクロらしい奥行のある写真にできた。絞りF8・シャッタースピード1/40秒・ISO500・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離82mmで撮影。こちらもほぼ最短撮影距離だが、中心部なら絞り開放でもかなりシャープに写る。絞りF6・シャッタースピード1/640秒・ISO100・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離20mmで撮影。手ブレ補正無しで、どの程度スローシャッターで撮れるか試してみたが、画角の広いぶん1/15秒ならギリいけた。絞りF3.5・シャッタースピード1/15秒・ISO400・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離20mmで撮影。引きの無い込み入った場所でも広く写すことができる。絞りF8・シャッタースピード1/400秒・ISO400・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離20mmで撮影。被写体をアップにしても背景が広く写せるのが広角レンズの特徴。絞りF3.5・シャッタースピード1/3200秒・ISO400・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離20mmで撮影。画角が広いぶん要素を詰め込みすぎて、乱雑になりがちなのが広角の難しいところ。絞りF8・シャッタースピード1/250秒・ISO100・WBオート。

シグマ「20-200mm」実機レビュー

焦点距離20mmで撮影。逆光ではゴーストはあるもののハレーションは気にならない。絞りF16・シャッタースピード1/40秒・ISO100・WBオート。

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!