買収から1年半、進むCiscoとの統合の成果は
CiscoがSplunkを傘下に収めてからおよそ1年半。今年の.confでは、“CiscoカンパニーとしてのSplunk”を随所で確認できた。
.conf25に合わせて開催された記者会見で、Ciscoのプレジデント兼CPO(最高製品責任者)を務めるジーツ・パテル氏は、買収にあたって「『CiscoはSplunkを潰さない』と約束した」と述べた。Cisco幹部にはスタートアップ出身者も多く“大企業的な考え方”は薄いため、「CiscoとSplunkの社風にミスマッチはない」と語る。
また、買収のタイミングについても、これまで経験のないような大きな変革をもたらす“AIシフト”が進行中であり、CiscoとSplunkの2社は、それを支える広範な中核技術を持つことから、適切なタイミングだと強調した。「スタートアップが成功する条件の1つが“タイミング”だ。すばらしい製品でも、提供するタイミングが悪ければ成功しない」(パテル氏)。
製品面では、「この1年半で大きな統合を進めてきた」と振り返る。前述したCisco Data Fabricのコンセプトのほか、Ciscoの「AI Canvas」の最も良いユースケースがSplunkであること、AI DefenseがSplunkを統合して提供できることなどを挙げた。今回、新発表のひとつとして、Ciscoファイアウォールのログデータを、Splunkに無料で取り込み可能にすることも発表されている。
これから、SplunkとCiscoの境界はさらに曖昧になっていく見込みだが、「1つのブランドに統合しないのか?」という質問には、「それぞれのブランドを維持する」と断言している。その理由は「Splunkにはコミュニティがあり、そのコミュニティを尊重するため」だという。
展示会場の「One Cisco」ゾーンでは、製造拠点(工場)向けIoTデータ活用ソリューションとして、Cisco、Meraki、UCS、そしてSplunkの技術を盛り込んだデモ環境が披露されていた。これは、Industry 4.0ベンダーのDENALIとCiscoが共同設計した、エレクトリックギター製造ラインのデモだ。
Merakiのカメラを使って、製造したギターの表面に傷がないかをチェックし、あればその場所をダッシュボードに表示する。また、Splunk Edge Hubを使って、音程のチューニングを行うロボットとオシロスコープの稼働状況を表示、機械学習を使った異常検出の結果も得られるダッシュボードを見せていた。
また、会場内のコミュニティゾーンでは、他のユーザーへのサポート、貢献活動を積極的に行ってきた“Splunk Trust”たちが集っていた。「フェズ(Fez)」と呼ばれるトルコ帽をかぶっており、コミュニティ内では一目置かれる存在だ。18年間、Splunkを使い続けてきたというある男性は「Splunkの成長とともに、自分のキャリアがある」と語った。Ciscoによる買収についても、Splunkのブランドが残り、シナジーを生むテクノロジーもあると、肯定的な見方を示した。














