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ソニー、"属人化したノウハウ"の共有課題をAIで解決する「Shpica」発表

2025年09月08日 12時50分更新

文● サクラダ 編集●飯島恵里子/ASCII

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 ソニーネットワークコミュニケーションズは9月8日、AIを活用して組織内に点在する知見と人材を有機的につなぎ、組織の境界を超えた協働を促進するAIナレッジプラットフォーム「Shpica(シュピカ)」を発表した。同日より申込みを受け付け、10月1日より提供を開始する。

AIが組織の「知見」と「人」をつなぐ

 Shpicaは、組織内の知見を「誰に関連する知見か」と紐付けて蓄積し、AIに質問するだけで最適な情報と社内の専門家を瞬時に発見できる、人間中心型のナレッジマネジメントシステムだ。部署単位からのスモールスタートに対応し、組織の成長に合わせた段階的な展開が可能となっている。

 昨今、労働人口の減少や働き方の多様化により、従業員が持つ知識やノウハウといった知的資産の活用は重要な経営課題となっている。しかし、「業務で困ったときに必要な情報や相談相手が見つからない」「ベテラン社員の退職でノウハウが失われる」といった問題は多くの企業で発生していた。Shpicaは、こうした課題を解決するために開発されたという。

 主な特長として「AI Ask Search」機能を搭載。自然言語で質問を投げかけると、AIがテキストやPDFといった組織内の多様な情報源を横断的に検索し、関連するナレッジと社内の専門家を即座に提示する。

 また、「Knowledge Converter」機能により、過去の資料や議事録といった多様なファイルをアップロードするだけで、AIが内容を自動で分析、分類して構造化する。これにより、埋もれていた情報も検索可能な「組織知」として蓄積される。文章の校正や不足情報の補足にも対応し、ナレッジ作成の手間を大幅に削減する。

 「Expert Finder」機能は、従業員のスキルや経験、プラットフォーム上での活動データをAIが分析し、各分野の専門家を特定する。これにより、個人の人脈に頼ることなく組織内の最適な人材にアクセスし、情報収集の効率化や協働を促進する。

 さらに「Personalized Broadcast」機能では、新たなナレッジが投稿されると、AIがその内容に関心を持ちそうな従業員を判断し、自動でメッセージを配信する。関連性の高い情報の見逃しを防ぎ、新たなアイデアやコラボレーションの創出を支援するとしている。

 本サービスのPoC(概念実証)を広告メディア企業の開発部門(約100名)で実施したところ、導入3ヵ月で約500件のナレッジが蓄積され、1日のアクティブ利用率が40%を超えるなど高い利用率を達成。「社員の相互理解が深まり、部門を超えた協働が活発化した」との声が多数寄せられたという。

 提供形態はSaaS型クラウドサービスで、料金は月額10万円(税別)から。詳細は個別での問い合わせを受け付けている。

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