Stable Diffusion入門 from Thailand 第32回
【無料】動画生成AI「Wan2.2」の使い方 ComfyUI設定、簡単インストール方法まとめ
2025年09月08日 17時00分更新
I2Vはかなり厳しい
次にあらかじめ用意した画像を元に動きをつけるI2Vを試してみよう。I2Vを試すには先ほどのワークフロー内にある「For I2V, use Ctrl + B to enable」と書かれたノードを選択し、「Ctrl + B」でアクティベートしよう。
アクティベートされたノード。ここにI2Vで使う画像をドラッグ&ドロップ(または「choose file to upload」をクリック)すればよい。
画像はMidjourneyで用意した。
生成する動画のサイズが1280×704なので、あらかじめ画像も16:9でトリミングしておいた。
トリミングが終わったらノードにドラッグ&ドロップ。
設定はT2Vの時とほぼ同じだが、「denoise」の値だけ1.0から0.7に変更した。denoiseは元画像をどの程度ノイズ化して再生成するかを決めるパラメーターで、値を下げるほど元画像を保ちやすくなる一方、動きは控えめになる。今回は元画像の雰囲気を残したかったため、やや低めの0.7に設定している。
I2Vでは「元画像をどの程度動かすか」がポイントなので、プロンプトは「動き+雰囲気強化」の二軸で以下のように組んでみた。なお、ネガティブプロンプトはデフォルトのままにしておいた。
プロンプト:A young woman turning her head and smiling, close-up shot, shallow depth of field(頭を振り返って微笑む若い女性、クローズアップショット、浅い被写界深度)
以上の設定で動画を生成。所要時間は27分とT2Vとほぼ同様の時間がかかった。
さっそく再生してみると……元画像とは似ても似つかぬ別人化した女性の映像が表示された。大失敗だ。
SNSなどの報告を見るとどうやら「静止画をそのまま動かす」というよりも「静止画を起点に別ショットを作る」という挙動になりやすいようでまさにその挙動である。
そこで今度はDenoiseの値を0.7から0.55にさらに下げることで元画像の輪郭・服・背景の保持率を上げ、CFGも5から4に下げることでテキストの支配力を落とし、画像の影響を強くしようと試みてみた。
プロンプトも見直し、元画像と「同じ女性」「同じ顔」「同じ服装」「同じ背景」で描いてと強調、さらにネガティブプロンプトに「違う顔」「違う衣装」「違う背景」と思いつく限りの条件を入れてみた。
プロンプト:same woman, same face, same outfit (black coat, multicolor scarf), same background, subtle head turn, slight smile, cinematic lighting
ネガティブプロンプト:different face, different clothes, different background, deformed, blurry, low quality
結果は……。
結論としてI2Vで「写真の人物をそのまま動かす」のは、少なくともTI2V-5Bモデルではかなり難しいという印象だ。denoiseやCFGを調整しても別人っぽく生成されることが多く、「動かす」というより「元画像から新しいショットを作る」挙動になることが多い。コミュニティでも同様の報告があり、現状ではこれが通常の結果と思ってよいだろう。設定をさらに追い込めば多少改善する可能性はあるが、弊環境では生成に約30分かかるため現実的とは言いがたい。より高精度に再現したいなら、VRAMの多いクラウド環境で14Bモデルを使う、あるいは次章で紹介するEasyWan22といった別アプローチを試すのも一案だ。

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