クリエイティブ用途、AI/HPC用途なら「AMD Ryzen™ Threadripper™ 9000」シリーズだ

AMDの「AMD Ryzen™ Threadripper™ 9000」シリーズは、プロおよびハイエンドデスクトップ(HEDT。High-End-DeskTop)向けという位置付けのCPUで、「AMD Ryzen™ Threadripper™ 9980X」「AMD Ryzen™ Threadripper™ 9970X」「AMD Ryzen™ Threadripper™ 9960X」の3種類が用意されている。
「AMD Ryzen™ Threadripper™ 9000」シリーズは、Zen 5ベースのアーキテクチャーを採用したことに加え、同じコア数・同じクロックのZen 4ベースのCPUと比べ約20%程度の高速化を実現した点が大きなメリットだ。充実のコア数/スレッド数および高いクロック周波数による処理時間の短縮、広帯域のメモリー対応とPCIe 5.0による大規模データの扱いやすさなども特徴となっており、クリエイターの制作現場やソフトウェア開発者、AI活用といった高度な研究開発まで幅広い用途に最適といえるのだ。
| 主なスペック | |||
|---|---|---|---|
| 型番 | AMD Ryzen Threadripper 9980X | AMD Ryzen Threadripper 9970X | AMD Ryzen Threadripper 9960X |
| コア/スレッド | 64コア/128スレッド | 32コア/64スレッド | 24コア/48スレッド |
| ベース/ブースト周波数 | 3.2GHz/5.4GHz | 4.0GHz/5.4GHz | 4.2GHz/5.4GHz |
| 3次(L3)キャッシュ | 256MB | 128MB | |
| メモリー対応 | 最大1TB、DDR5‑6400(ECC)×4チャネル | ||
| PCIeレーン(うちGen5) | 88(80) | ||
| 対応ソケット | sTR5 | ||
| TDP | 350W | ||
最大64コア/128スレッドの性能で処理時間を大きく短縮
64コア/128スレッドの「AMD Ryzen Threadripper 9980X」を筆頭に、「AMD Ryzen Threadripper 9000」シリーズは最大5.4GHzの高いクロック周波数を利用可能だ。そのおかげで複雑なレンダリング、動画エンコード、シミュレーションを短時間で完了できる。単一スレッド性能も高いため、重いタスクを実行中でもシステム全体の応答性を維持しやすい。
大規模データに対応するメモリー帯域と拡張性の高さ
メモリーのチャネル数は4chであるため4枚単位でメモリーモジュールを装着可能となっており、メインメモリーとして最大1TBまでサポートしている(マザーボードの対応も必要)。メモリーの最大クロックがDDR5-6400となった点もメリットだ。200GB/sを超えるメモリー帯域が利用でき、8K映像編集や大規模データ解析、仮想マシンの同時運用でもボトルネックを感じにくい。80本のPCIe 5.0レーンが用意されており、複数のグラフィックカードや高速NVMeストレージ、追加のネットワークカードを同時に利用できる。
AIと科学計算を加速するAVX‑512
Zen 5世代の「AMD Ryzen Threadripper 9000」シリーズは、512bit幅のAVX‑512ユニットを搭載している点も見逃せない。行列演算やベクトル演算を多用するAI推論や科学技術計算では、大幅な高速化が期待できるようになったのだ。ディープラーニング推論でもCPUが高い性能を発揮する。
応答性を向上させる大容量の3次キャッシュ
3次(L3)キャッシュとして、「AMD Ryzen Threadripper 9980X」は256MB、「AMD Ryzen Threadripper 9970X」「AMD Ryzen Threadripper 9960X」が128MBを搭載しているため、頻繁に利用されるデータをCPU内部に保持しやすくしている。このおかげでメモリーへのアクセスによる遅延が低減するため、プログラミングにおけるコンパイル、科学計算といったランダムアクセスが多い作業で高速な応答が得られる。
より高性能なワークステーション向けCPU
AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 9000WXシリーズもある
Ryzen Threadripperにはプロ向けの上位モデルが存在する。それがAMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 9000WXシリーズだ。最大96コア192スレッドまで対応し、8チャネルのDDR5メモリーを最大2TBまで搭載可能。最大ブーストクロックは5.4GHz、L3キャッシュは最大384MBと非常に大きい。PCIe 5.0は128レーンと非常に豊富。さらにAMD PRO Technologiesによるセキュリティやリモート管理などの企業向け機能を備えた、信頼性や拡張性を重視した設計となる。
つまり、AMD Ryzen Threadripper 9000シリーズとの大きな違いは、「コア数」「メモリーチャネル数と容量」「PCIeレーン数」「管理・セキュリティ機能」の5点に集約される。PRO 9000WXは「最大コア数、メモリー帯域、PCIeレーン数、セキュリティと管理機能」を備えた究極のワークステーション向けCPUであり、PRO 9000は「高性能を維持しつつコスト効率を重視したクリエイター向けCPU」に位置付けらる。





