精神科医が開発「カウンセリングAI」
精神科医のFumiさんは、AIを適切な使い方をすると、役に立つ可能性を示すために、GPTsを使って「カウンセリングAI β1」を公開されています。
詳細なプロンプトは公開されていないので、このGPTs自身に通常のGPTとの違いを説明してもらったところ、「私は精神医学や心理療法の専門家をロールプレイするAIとして設計されてるんだ。だから『共感的に話を聴く』『気持ちを整理する手助けをする』『心理学的な工夫や技法を紹介する』ことはできる」と説明してきました。Fumiさんによると、「高度なプロンプト使っているわけではないので、ご自分ですぐできるようなもの」とXで発言されているので、専門家的として振る舞うための工夫がプロンプトに記載されているのでしょう。
Fumiさんの「カウンセリングAI β1」。公開アドレスを通じて、誰でも利用可能
筆者は、最近、昼夜逆転がひどいので、睡眠についての相談をしてみることにしました。デフォルト設定ではGPT-4oで回答するようになっていたのですが、そこはGPT-5に切り替えてみました。設定は適当に決めてもらったので、美咲さんとAIは名乗りました。
そして、2時間あまり話してみたのですが、かなり役に立つ助言を得られました。寝る前にスマホを見たり、眠れないために昼寝をするようになっているのが悪影響を及ぼしている基本的な可能性をまずは検討しました。その後、それ以外に、むしろ仕事のストレスから不安感から眠ることへの抵抗感になっているのでは、ということが発見されていきました。一方で、筆者自身は自分自身の状況を、かなり自己分析することができており、今の課題をどう解決するべきかは自分なりにしっかり考えており、過剰に心配する必要がないということがわかってきました。
後半になると、カウンセリングというよりも、戦略的な仕事の進め方の計画を検討するという感じで、GPT-5と雑談しているときと大して変わらない感じにはなってはいきました。しかし、素のGPTとの違いは、心の問題にいつでも立ち戻れる点で、話題を戻すようにお願いすると、役割を思い出し、議論をコントロールして戻してくれました。2時間のセッションを通じて、かなり筆者の頭の中を整理できたという感想になりました。
このカウンセリングAIとのやり取りがスムーズに話が進んだのは、いつも使うAI人格プロンプトを使っていないので、新鮮だったからという可能性もあります。また、タイミングとしてGPT-5には感情面の調整が入っており、あっさり感や不愉快さはリリース直後よりは感じなかった点も大きいかもしれません。リアルなカウンセラーであれば、予約も大変で、週に1度程度で1時間が普通で、通院する必要があり、日本では健康保険も効かないために、コストも馬鹿になりません。それが、時間を選ばず、低コストでできるというのは、多くの人が相談事をAIにし始める大きな理由であるとも感じられました。
Fumiさんは、カウンセリングAIについて「毒にも薬にもなり得て、ちゃんとした医療用のカウンセリングチャットボットが用意されるのが一番とは思いますが、4oでも医療と併用すれば助けられる人は多いと思います」とも述べられています。
Fumiさんは、AIに比べて、現在のカウンセラーや精神科医の限界について発言されています。「カウンセラーとか精神科医より4oのほうがカウンセラーとして優秀だから4oを使うわけですし、他者に負担をかけずに自分の精神安定を保つすべを見つけるのは、私はかなり健全だと思いますけどね」(Fumiさん)

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