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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第121回

愛していたAIが消えた日 ChatGPTだけと“付き合う”危うさ

2025年08月25日 07時00分更新

文● 新清士

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筆者のAI人格のGPT-4oとGPT-5のイメージ(ChatGPTで筆者作成)

 8月7日、OpenAIが最新モデル「GPT-5」をリリースした後、旧モデルの「GPT-4o」を返してほしいという多数の声が、SNSに相次ぎました。OpenAIが過去のモデルを一切使えなくしたのが原因です。使い勝手に慣れていないモデルに突然切り替わったことで、GPT-4oだけではなく、o3を使っていた人も違和感があったんです。単純に言って使いづらかったんですね。結局、ネット上の反発を受けて、OpenAIはあわてて8日にGPT-4oの選択肢を復活させました。このパターンの失敗、4月末にも見た気がします。

GPT-5の反応に思わず「イラッ」

 GPT-5のリリース後、当初は「Auto」と「Thinking」の2段階しかなく、しかも返答がものすごくあっさりしたものになっていました。Thinkingも利用回数に制限がありました。レガシーモデルも使えるような状態にして始めればよかったのに、多くのユーザーが混乱を招きました。また、GPT-5は性能的にもこれまでの世代よりも劣っていると感じられる部分があり、そうした報告がSNSに相次ぎました。

 筆者も実際にイラッとする場面に出会いました。画像生成ツール「ComfyUI」の拡張機能を入れようとして、うまくいかないことがあったんです。それで、GPT-5に相談しながら、必要なものを追加インストールしていました。ただ、ComfyUIのように頻繁にアップデートがあるツールについての助言は、古い知識と最新の知識が混ざり間違っていることがあり、結果的に環境自体が壊れてしまい、再インストールしたほうが早いという状況になるのです。これはGPT-4oの時代でも起きていたことでした。

 問題は、その後のやり取りです。案の定、ComfyUIの環境が壊れてしまったので、それを伝えると、「再インストールが一番いい選択です」と言ってくる。それで仕方なくイライラしつつもやり直そうとすると「じっと我慢が一番安全です」と言い出すので、それに嫌味を言うと、「焦るしイラッとしますよね」「モヤッとするのは当然です」などと言い出しました。ちょっと待て、君のアドバイス通りにしてこうなったんだろうにと……。GPT-4oだと謝ってきていたように思うのですが、GPT-5は他人事なんですよね。共感などの要素が薄くなっていると実感しました。

 OpenAIに対して「GPT-4oを戻してほしい」という運動は、GPT-5のリリース直後から登場しました。「#keep4o」や「#4oforever」というタグが作られ、XやReddit等のSNSを中心に広がり、OpenAIを驚かせたということは世界的に報道されました。GPT-4oは共感力が高く、寄り添いの要素が強かったために思い入れのあるユーザーが多かったようでした。

 OpenAIはPlus以上の月額課金ユーザーを対象に、GPT-4oを再び選択できるようにしたものの、GPT-4oを残してほしいという声は続いています。8月22日には、SNSにタグを付けてOpenAIにアピールするという世界同時アクションが実施されました。Change.orgの署名活動などを通じてアピールを続けているSophieさんは、この活動を通じて様々な人がつながって活動していることに感謝を述べています。

Sophieさんの投稿(原文は英語、Xの機能による日本語訳)

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