MSI「MAG CORELIQUID I360」レビュー

猛暑上等!ゲーミングPCの温度を2万円でここまで下げられる価格以上の満足度。CPUクーラーは夏に買うのがベストな理由を教えます

文●石川ひさよし 編集●三宅/ASCII

提供: エムエスアイコンピュータージャパン

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 まずはCPU負荷テストとしてCINEBENCH R23、CINEBENCH 2024の温度推移を見てみよう。グラフは青いラインがCPU パッケージ温度なのでここに注目。灰と緑のラインはCPU、GPUの消費電力(負荷)と捉えていただければよい。

CINEBENCH R23の温度推移

 CINEBENCH R23はMulti Coreを1回実行しただけなので短時間だが高負荷という状況になる。CPU温度はおよそ40℃前後のアイドル状態からベンチマーク開始と同時に上昇し最大83℃を記録した。そして15カウント付近、ベンチマーク終了の瞬間、1カウントの間に80℃台から40℃台前半まで一気に冷却される。1カウントはHWiNFO64の設定上では2000msだ。速やかに冷却されていることが分かる。

CINEBENCH 2024の温度推移

 CINEBENCH 2024はMulti Coreを10分間実行している。グラフのとおりシーンのレンダリングとしては4回あり、CPU温度は初回が徐々に上昇、2回目でゆるやかに上昇し、3回目で落ち着き、4回目の真ん中ほどで99℃のピークに達した。レンダリングとレンダリングの間の瞬間には60℃台半ば〜70℃台前半までCPU温度が下がり、4回目のレンダリング終了時は50℃台まで速やかに下降、一瞬の上昇の後はゆるやかに40℃台まで冷却されていた。CPUパッケージ電力を見ると、4回のレンダリングで多少の違いは見られるがそこまで大幅に電力制限している様子はない。そして計測データを見るかぎり、サーマルスロットリングはかかっていない。長時間のCPU高負荷状態でも安心して使用できる。

 現在の自作PCの主な用途であるゲーミング時の温度推移を3DMarkの各テストで確認してみよう。Speed Wayはリアルタイムレイトレーシング、Steel NomadはDirectX 12(非レイトレーシング)のテストで、CPU負荷はそこまで高くない一方、GPU負荷が高い。高性能ビデオカードを搭載するPCで楽しむゲームを想定したものだ。この2つのテストでは、テストプログラム読み込み時にCPU処理が集中しCPU温度が上昇するものの、テストシーンではおおむね40℃台前半で推移している。

3DMark - Speed Wayの温度推移

3DMark - Steel Nomadの温度推移

 Time Spyは現在Steel Nomadに置き換えられた古いテストだが、CPUテストもあるので検証してみた。映像重視のAAAタイトルでも、CPU負荷が高いものもある。そのイメージになるだろう。テストプログラム読み込み時にCPU温度が上昇するのは先と同様。2つのテストの間に64℃、66℃の2つのピークがある。一方前半のグラフィックテストは51℃±4℃といったあたり、後半のCPUテストは49〜60℃の間だった。前半テストも先2つのテストよりはCPU負荷が高いので多少CPU温度が高く出る。後半テストはCPUパッケージ電力がより100Wに近づくこともありもう一段CPU温度が上がるもののテスト中は60℃以下に抑えられている。

3DMark - Time Spyの温度推移

 Wild Lifeは1フレームあたりのGPU負荷が軽く、高フレームレートでCPU負荷が比較的高くなるテストだ。競技性の高いeスポーツタイトルのイメージになる。Time SpyのCPUテストほど露骨ではないものの、CPU温度推移は似ており、およそ50℃台前半だった。

3DMark - Wild Lifeの温度推移

 これらの傾向を踏まえたうえで実際のゲームベンチマークでのCPU温度の最大値を見てみよう。

 4つのゲームベンチマークで、低解像度(フルHD)軽量画質、高解像度(4K)高画質を計測している。おおむね60℃台だが、CPUへの要求が高いモンスターハンターワイルズについては70℃を超えた。それでも70℃台なので心配する必要はないだろう。モンスターハンターワイルズ ベンチマークについてはV-SYNC設定オフなので、高性能ビデオカードを組み合わせた場合は負荷が通常よりも高くなる。ここも70℃台に達した理由と思われる。

アイドル時の最小およびベンチマーク中の最大温度

 レインボーシックス シージエックスについては、Wild Life同様、低解像度・軽量画質のほうが高解像度・高画質よりもCPU温度が高くなった。ただし60℃台前半に収まっている。eスポーツはとくに安定性が重要。PCのCPU温度として見て60℃〜70℃台はそこまで不安はないが、その中でも60℃台前半なら安心感もぐっと高まる。

 なお、サイバーパンク2077の4Kで、V-SYNCオンを加えている。今回の構成の場合、4K/レイトレーシング:ウルトラ設定でもフレームレートは60fpsを大きく上回る。そこでV-SYNCをオンにして上限を60fpsに抑えると、まず当然GPU負荷が下がるが、同時にCPU負荷も下がりCPU温度も下がるというわけだ。前提上限はディスプレイのリフレッシュレート以上の(最小)フレームレートが得られていること。G-SYNCやFree Sync機能のあるゲーミングディスプレイは別として、それら機能のないディスプレイを用いているならこうした設定方法も覚えておくとよい。

 動作音については参考までに。エアフロー重視のPCケースなので内部の音が抜けやすいハンデがあるにもかかわらず、動作音としては30dB台と非常に静かだった。CINEBENCH 2024が35.2dBであるとおり、「MAG CORELIQUID I360」自体はおよそこのくらいの動作音。3DMarkやファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク(FFXIV)の4K/最高品質などはビデオカード側の動作音が混入していると考えられる。ここはビデオカード次第であるが、あくまで今回の構成、今回の電力設定ならシステム動作音として「30dB台の静かさでゲームがプレイできる」。

動作音の測定結果

 なお、制御を委ねたMSI Centerの「AI Engine」も印象的だった。動作音計測もパフォーマンス設定のままである。CPU温度についてはここまで提示してきたように「適切な範囲」だ。見方によっては可もなく不可もなくとなる。ただし「冷やせるだけ冷やす」のではなく必要十分とすることでファンの回転数を抑えられている。結果として抜群の静音性が実現できたわけだ。

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