MSI「MAG CORELIQUID I360」レビュー
猛暑上等!ゲーミングPCの温度を2万円でここまで下げられる価格以上の満足度。CPUクーラーは夏に買うのがベストな理由を教えます
冬は快適だったゲーミングPCだが、夏になるとややゴネるなんてこともある。心なしかうるさい、原因不明のクラッシュを生じた……等々。CPUクーラーの交換を検討してみてはいかがだろうか。今回はこの夏オススメのMSIの簡易水冷CPUクーラー「MAG CORELIQUID I360」を紹介しよう。比較的手頃、しっかり冷えるデザイン、そして「EZ DIY」で手軽に交換できる。もちろん新規組み立てでも手軽に組めてオススメだ。夏に合わせてCPUクーラーを選んでおけば一年を通じて快適。とくに夏に静かなCPUクーラーを選んでおけば一年を通じて静かさが得られる。それでは「MAG CORELIQUID I360」を見ていこう。
半組み立て済みでデイジーチェーン。従来の常識を覆すかんたん組み立て
MSIの簡易水冷CPUクーラーラインナップはマザーボードと同様に上から「MEG」、「MPG」、「MAG」と3グレード構成。MEGは高品質かつ究極の性能のフラグシップ、MPGは性能とデザインの両立、MAGは堅牢性と耐久性を兼ね備えた安定志向というようにコンセプトが分かれている。これにプラスして、現行ラインナップの分かりやすい分類をするとすれば、MAGは水冷ヘッドがLEDなのに対してMPGとMEGは情報やアニメーション等が表示できるLCD、MAGとMPGはLEDファンなのに対してMEGは光らないという分け方ができる。
今回のモデルは「MAG CORELIQUID I360」はMAGグレードなので安定志向向き。ARGB LEDによる加飾はあるので当然見た目重視の方もターゲットに入るし、LCDを用いていないので比較的安価、その上で肝心の冷却部分はぬかりなしといった具合だ。
その上で、「MAG CORELIQUID I360」で従来モデルと少し変わったところがある。今回は36cmクラス・ラジエータ採用モデル。3基の12cm角ファンを搭載するわけだが、これが最初から固定されている。従来は3基の12cm角ファンが同梱されるだけで、ユーザーがネジ固定する格好だった。ファン1基につき4本のネジ、36cmクラスなら12本のネジ固定をしていたわけだ。
もっとも、「MAG CORELIQUID I360」は天板部に搭載するコンセプトの製品で、その場合は「装着済み」であるため手間を省ける。しかし、もしもラジエータを前面、底面、ピラーレスモデルのように側面に置きたい場合、ファンの向きを入れ換えるために取り外し→再固定が必要になる。まあ、大半の自作PCユーザーはラジエータを天板部に装着することを選択するだろうから大した問題ではないだろう。
加えて、3基のファンは配線済み。加えてデイジーチェーン接続なので端のファンから電源およびLED用のケーブルが各1本出ているのみだ。全体ではと言うと、水冷ヘッド側からも電源とLED用ケーブルが出ており計4本。うちLEDについては水冷ヘッド側に分岐があってラジエータ側のケーブルをデイジーチェーン接続できるので、マザーボードやハブと接続する数で言えば3本まで減る。
なお、SATA電源コネクタなど他系統の電力は使用しない。ここがハイエンドモデルとの差別化と言えるのかもしれないが、組み立てがシンプルでラクになるのがメリット。ファンとポンプは別系統の4ピンコネクタに接続するので一般的には十分な電力と思われる。ファンは最大3.6W、70.7cfmといったスペックだし、ポンプも最大6W、3400rpmといったスペックだ。
ソケット固定部品もユニーク。共通パーツ化で部品そのものも少なくかんたん
CPUソケット対応はIntel LGA1851/1700/1200/1156/1155/1151/1150およびAMD AM5/4。ざっとここ10年のメインストリーム・ソケットをサポートしている。詳細については製品サイトで確認しよう。また、紙マニュアルは付属しないので、製品のサポートページにあるPDF版をスマホ等に読み込んでおくとよい。
購入時、水冷ヘッドには標準ブラケットが装着済みだ。これ自体はめずらしいわけではないが、この標準ブラケットで先の全CPUソケットに対応する。ひとつ、LGA 1851についてはオフセットブラケットが付属する。これと交換することで、CPUのホットスポットと水冷ヘッドの位置が最適化され冷却性能が高まるとされる。ブラケットの交換はスライド式なので大した手間はない。Intel CPUの場合、ブラケットを選んだ後はバックプレートを当てがい、スタンドオフ(4本)を装着、ナット(4つ)で固定するといった流れだ。











