EV充電器が家電量販店で買える? 販売はPCパーツのMSI? 情報量が多すぎるのでMSIにいろいろ聞いてきた
MSIが7月31日よりEV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)向け普通充電器「EV Life」の販売を、ビックカメラのECサイトで開始した。価格はビックカメラ.comで14万9800円。
EV充電器が家電量販店で販売されるのは驚きだが、MSIはPCメーカーとして家電量販店との長年の取引があるため、既存のチャネルを通じて幅広い層にアプローチし、ブランドの認知度を高める狙いがある。
最初にEV Lifeの特徴を述べると、6kWと高出力、アプリとの連動、IP55の防水性能、価格が比較的安価など。これらの特徴を説明しつつ、MSIのキーマンにEV充電器に関する話を聞いた。
MSIの充電器は最大出力6kWが強み
一般的にEVの普通充電器は、車両に付属(またはメーカーオプションで用意)するケーブルを200Vコンセントに接続して使う。
この場合、3kWの電力で充電するのだが、気になるのは充電時間だ。車両に搭載するバッテリーの容量や温度、充電状態や経年数に依るところが大きく、一概に語ることはできないが、日産自動車を例にとると、軽自動車のサクラが約7.5時間、SUVのアリア(91kWhモデル)に至っては約35時間と1日半の時間を要する。
1日半はさすがに……ということで登場するのが、3kWの倍となる据え置き設置型の6kW出力の普通充電器だ。対応する車種なら、電気代はほぼ変わらずに半分の時間で充電が終わる。MSIが販売を始めた「EV Life」は、その6kW出力の普通充電器だ。
PCのMSIがEV充電器を出す理由
さて、それではなぜPCのMSIが普通充電器の販売を開始したのか? 他社との違いはどこにあるのか? MSIの日本法人、エムエスアイコンピュータージャパンのキーマンに話を聞いた。
コンピューター企業の大手であるMSIが、EV向け普通充電器を手掛けることになった理由を聞いた。「台湾では近年、EVの需要が急速に高まっています。そこで3年前から開発をスタートさせ、昨年4月から台湾国内で販売を開始しました。すでに2000台以上を販売しています」と、PCメーカーとして培ってきたハードウェア製造の強みや、電子機器に関する深い知見がこの事業への参入の背景にあるようだ。
第1弾となるEVシリーズは3タイプを用意。「EV Lifeは一般家庭向けのモデルになります。それにアカウント管理などのEMSエネルギー管理システムに対応するEV Life Plus、そして、Plusに7インチモニターを搭載するEV Premiumです」と、集合住宅向けモデルも用意されている。すべてPSE認証は取得済みで、IP55防水防塵機能のほか、世界で初めて標高3000mまで使用可能など、屋外でも安心して設置できる。なお、今回日本で販売するのは「EV Life」のみ。
EV充電器はさまざまなメーカーから発売されているが、MSIの強みは何だろうか。「長年のPC開発で培った安全性と、ソフトウェアの技術力です」と、ソフトウェア(アプリ)やエネルギー管理システムを自社で開発している点をアピールした。これにより、ユーザーにトータルソリューションを提供することを目指しているとのこと。手元で給電状態や充電スケジュールが管理できるモバイルアプリをはじめ、複合住宅に便利な管理システムなどが用意される。
本体サイズは横229×縦355×奥行き125mm。汚れが目立ちにくいブラックで、フロントパネルには動作状態がわかるLEDインジケーターが設けられている。
側面には緊急停止のスイッチも用意。充電コネクターは、日本で販売する電気自動車で最も多く搭載されているType 1(J1772)規格。テスラや一部の欧州車は別途、市販されている変換コネクターを介して充電する。ケーブル長は5mだが、もっと長いケーブルが必要な場合に備え、別途7.5mもラインナップする。
パッケージの中には、本体のほか壁掛けブラケットも同梱しているのは嬉しいところ。その他、屋外設置に便利なスタンドも大小2種類を別途用意しているとのことだ。
















