アバターのデザインは信頼感にかかわる
ところで、イーロン・マスク氏が作るとオタク全開のデザインになるものが、メタのマーク・ザッカーバーグCEOがアバターをデザインすると作るといかにもおカタい感じになるという指摘があり、確かに……と納得してしまいました。
Aniのデザインは、漫画『DEATH NOTE』の女性キャラクター、ミサミサ(弥海砂)を参考にしているのではないかとも言われています。金髪ツインテールにゴスロリ服という特徴的なキャラクターで、過去にX上でイーロン氏がキャラクター画像の投稿に「いいね」を付けていたりしたことから、好みではないかとも言われています。公式な言及は一切ありませんが、AIコンパニオンサービス開始時のデザインとしては、あまりにも偏った趣味のチョイスなので、イーロン氏の意向が関わっているのかもしれません。
どのようなアバターをデザインすると信頼感が発生するのかという研究も、近年盛んに実施されています。
まず、重要なのは情報を発信する目的によって、アバターのデザインの信頼度が変化するというものです。科学解説や医療啓発のような動画では、白衣を着た実写風2Dアバターが、私服アバターよりも説得力・受容度とも上回ったようです。権威を感じさせる人間らしさが難しいテーマを扱う場合には安心材料になりやすいようです(注2)。
一方で、教育やエンタメ分野の場合には、表情豊かな2.5Dアバターがついている方が、音声だけよりも、効果があるという研究も出ています。また年齢が低くなるほど、アニメ調も受け入れられるという傾向があるようです(注3)。つまり、そのアバターの使用目的によって、最適なデザインは変わってくる可能性があるわけです。
Aniはエンタメとしては受け入れが行いやすいデザインだったと考えることができます。一方で、それが楽しめない人にとっては、受け入れにくいデザインとして感じられるものと思われます。社会一般に受け入れられる普遍性を狙ってデザインされていないことは間違いないでしょう。
今後、社会にAIコンパニオンの登場の機会は増えると考えられますが、ユーザーにもたらす影響も研究が進みはじめています。最新の研究でポジティブとネガティブの両方の側面が指摘されてきています。現状では、利用者によってかなり個人差があり、単純な答えは出ていない状況です。
ワシントン大学などの研究者が2月に発表した論文では、AIアプリケーションが高齢者の孤独感を軽減することができるのかをテーマにした研究の状況をまとめました(注4)。世界で実施された9件の関連する研究のうち、6件が孤独感の軽減に役に立つという結果が出ています。特に音声認識機能やAIロボットといったものを通じての交流は、感情的な幸福感の向上と孤独感の軽減に貢献する可能性があるとしています。
こうしたポジティブな効果は他の複数の研究でも確認されており、孤独感の軽減だけでなく、気分の短期的改善、自殺予防への寄与といったものも報告されています。

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