「Google Distributed Cloud」が鍵、各国パートナーが運用するソブリンクラウドも展開
KDDIと提携したGoogle Cloud、分散クラウド/ソブリンクラウド戦略を担当者に聞く
2025年07月22日 10時00分更新
KDDIとの戦略提携の意味
――GDCのGeminiサポートに合わせて、KDDIがAI分野におけるGoogle Cloudとの戦略的提携を発表しました。この提携について教えてください。
グプタ氏:KDDIは自社および日本の顧客向けに、自社データセンターでGeminiを実装します。ハードウェアにはNVIDIAを採用し、Google Cloudからは分散クラウドソフトウェアスタックとGeminiを提供します。
日本の顧客が考えるデータ主権ニーズに、日本で求められるソブリン要件を満たしながらKDDIとともに対応できることを光栄に思っています。
Google Distributed Cloudではパートナー戦略を重視しており、KDDIのようなパートナーを世界的に増やしていきたいと考えています。パートナーにはSIerやISVも含まれます。
――日本では、オラクルがソブリンクラウド戦略を積極的に進めています。Google Cloudの強みはどこにあるのでしょうか?
グプタ氏:Google Distributed CloudがフォーカスしているAI、データ、セキュリティが差別化ポイントとなります。Geminiのサポートのような、フロンティアモデルを分散クラウドでサポートしている事業者は我々だけです。エージェントベースの検索などのAI機能も、Google Cloudのみです。
セキュリティでは、Google Mandiantのフィードバックを取り入れ、ゼロトラストの原則を遵守してインフラを設計し構築しています。エアギャップとコネクテッド、ともに顧客のデータの保護を最優先しています。
付け加えるなら、運用のスケールがあります。マクドナルドでは4万以上の店舗を支えています。この規模の実装は珍しいと言えます。
――IT業界では、数年前は「クラウドへの移行」が話題の中心でした。日本では円安の進行によってクラウドコストが割高に感じるという声もあります。ソブリンクラウドのようなニーズも考慮すると、これからオンプレミスとクラウドの比率が変化していくと思いますか?
グプタ氏:よく“オンプレ回帰”と言われますが、私自身は顕著な傾向だと感じていません。大きな流れとしては、引き続きクラウドへの移行が続いています。多くのユースケースにおいて、パブリッククラウドは引き続き費用対効果が高く、AIなどの技術革新をすぐに活用できます。その一方で、業界や用途によっては、今後もオンプレミスに残るものもあるでしょう。GDCは、そのようなニーズにも対応できるソリューションです。
Google Cloudが目指すのは、顧客が妥協することなく、環境という点でポートフォリオを構築できること。そしてどの環境でもGeminiのように最新のイノベーションを活用できるようにすることです。
――最後にGDCの、今後の計画を教えてください。
グプタ氏:GoogleにはGemini以外にも多様なモデルがありますから、これらを利用できるようにしていきます。また、データパイプラインの管理、モデルのファインチューニングなどがすでに可能ですが、GDCが最高のプラットフォームになるような機能をサポートしていきます。








