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T教授の「戦略的衝動買い」 第836回

“世界最小クラス“の45W対応USB PD充電器を衝動買い

2025年07月19日 12時00分更新

文● T教授、撮影●T教授、編集●ASCII

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ほんの少し窪んだ側面が見えにくい場所での抜き差しに便利
製品開発者との間で無言の対話ができたことがうれしい

 多少発熱は気になったが、これだけ小型軽量でありながら、スマホからノートPCまで幅広く対応可能なCubic Charge 45は、まさに“ポケットの中の電源ステーション”とでも呼びたい理想的な1台である。

 実は筆者がこのCubic Charge 45において、最も驚かされたのは、その軽さでも性能でもなかった。両側面にさりげなく存在する、ほんの少し凹んだ光沢仕上げのパネル部分にこそこの製品の本質が潜んでいた。

 全体がマットな質感の筐体に対し、このテカリのある窪みは当初、単なるデザイン処理に過ぎないと思っていた。ところが、実際に使用してみて、コンセントから抜く際にこの窪み部分に指先が自然にかかる心地よさを体験し、すぐにその意図に気付かされた。一見滑りやすい表面に見えるが窪みのお陰で無理なく力をかけられる。この凹みは、実に実用的な“指のための配慮”だったのだ。

側面の窪みからプロダクトデザイナーの意図を感じた

 特に、新幹線のようなモバイルワーク環境ではその真価が発揮される。最近の車両では、各席のひじ掛け前の目立たない位置に電源コンセントが設けられている「アタリ席」も増えているが、すべての車両がそうとは限らない。運が悪いと、いまだに窓側の床近くに電源がある「ハズレ席」に当たることもある。そんなとき、このわずかな凹みが、スムーズにアダプターを抜き差しできる最大の助けとなる。

 このような細部の工夫は、スペック表や販促コピーにはまず記載されない。しかし、使う人間の指先と心に静かに届く“気づき”をもたらしてくれる点で、この充電器には確かな価値がある。筆者はこうした体験を、もうひとつの「デザインコミュニケーション」と呼んでいる。プロダクトデザイナーが言葉を介さずに託した意図に、ユーザーがある瞬間にふと気づく。その無言の対話が成立する瞬間には、数値スペックを超えた感動がある。

 手のひらサイズの充電器から、思わぬかたちで届けられるデザインのメッセージ。それは単なる道具の向こうにある「気づきの喜び」であり、小さな出会いから生まれる豊かさである。Cubic Charge 45、やはりこれは“世界一”に違いない。

 
T教授

今回の衝動買い

・Belkin「BoostCharge USB-C PD 45W」
・価格 2691円
・購入 Amazon.co.jp

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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