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Ciscoが買収/統合した先進AI企業、これまでとこれからを聞く

「AIのセキュリティ」から「セキュリティのAI」へ Robust Intelligence・大柴氏

2025年07月17日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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AIガバナンス協会は「日本にチャンスを作り出すプラットフォーム」

――大柴さんは日本でAIガバナンス協会も立ち上げ、代表理事を務めていらっしゃいます。この狙いについて教えてください。

大柴氏:AIガバナンス協会は2023年秋に立ち上げました。(Cisco買収前の)Robust Intelligenceとして、さまざまな日本のお客様や政府機関とお話しをすると、AIのセキュリティ対策への関心が高く、皆さんから同じようなお問い合わせを多くいただきました。

 それならば、多面的・多方向に議論をしたり、情報を交換できるような環境を作った方が、日本全体のAIガバナンスやセキュリティの活動が活性化し、前進するのではないかと思ったのです。

AIガバナンス協会の概要(同協会資料より)

――AIガバナンス協会において、大柴さんは「日本はアメリカや欧州と違って良いポジションにある」とお話しされています。これはどういう意味でしょうか。

大柴氏:米国は混沌としており、特にAIでは推進派が強い。欧州は保守的、保護的ながらも、米国から引っ張られているような格好です。

 このような状況において、グローバルでそれなりの経済規模があり、適度なバランスを取りながら「AIの推進」とある程度の「ガードレール」を敷いていくことができるポテンシャルのある国は、日本しかない。そうした意味で「良いポジション」、スイートスポットになると思っています。

 日本はまた、政府と民間企業の連携という点でもバランスが取れており、官民一体で議論してモデルケースを作成し、それを国外に輸出することができる。そういう意味で、チャンスだと言えます。

 実際、AIガバナンス協会も設立から1年半で、会員企業が100社を超えました。マーケティング活動をしていないことを考えると、関心の高さがうかがえます。会員企業には、メガバンク3行、メガ損保3社、製造、そしてNECのようなSIerなど、業界のトッププレーヤーが揃っています。一方で、OpenAI、Google、Amazon、MicrosoftといったAIの開発プレーヤーも参加しています。十分なステークホルダーが揃い、かつ、政府からも高い関心をもらっていることから、AIガバナンス協会はチャンスを作り出すプラットフォームになってきたと言えます。

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