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堅実そうに見えて、無茶もいろいろ 変わらないDNAを探る

ヤマハネットワーク製品の30年 「チャレンジだらけの軌跡」を振り返る

文●大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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お客さまの声がきっかけ ヤマハネットワーク製品ができるまで

大谷:こういう商品企画って、どれくらい前から動いているんですか?

小島:2000年頃は、RFCのドラフトが出た段階で、どの標準技術を採用するかみたいな感じで企画すれば、半年後もしくは1年後くらいに商品が売れるみたいなサイクルがありました。あくまでインターネットの標準技術ありきだったんです。

でもつながるのが当たり前になると、それだけでは難しくなります。先ほどのクラウドの話がそうですが、お客さまの声をひたすら聞いて、課題を解決するための仕組みを自分たちで考えていく必要がありました。

その点、ヤマハはエンジニアがお客さまの元に出向いて、直接お話を聞いています。現場から出てきた「こんな機能が欲しい」という声を元に、ニーズに合わせて製品開発するようになってきます。

大谷:正直、ヤマハって「最新技術をいち 早く製品化」というメーカーではないと思っています。やはりお客さまの声を聞いて、いつ出すかというタイミングを重視しているイメージです。

小島:たとえば、2022年に出した「RTX1300」は弊社として初めて10Gbpsを搭載したモデルです。でも、10Gbpsを付けた製品の企画書を出したのは、2016年でした。1Gbpsで足りなくなる日はいつ? そのときのアップリンクは10Gbpsなのか、2.5Gbpsなのか、どんな端末がつながるのかなどを見定めながら商品化していったんです。

2016年に企画書を書いたのですが、その後10GbpsのFTTH回線が出始め、理論上ギガビットを超える速度が出るWi-Fi 6が普及していきます。2020年の段階で、ヤマハが10Gbpsのルーターを出さなかったら、お客さまはせっかくの高速なネットワークを活かしきれないと思っていました。コロナ禍があったので、想定より遅れたのですが、結果2022年にリリースできたんです。

大谷:とはいえ、みんな10Gbpsという感じではないですよね。

小島:確かに過渡期です。だからこそ、RTX1300では物理ポート構成をユーザー側で変更できる「フレキシブルLAN/WANポート」という機能を付けました。今までの常識だと、10GbpsのリンクをWAN回線やLANスイッチにつなぐのですが、2本をWANにつなぐケースはあまりない。だから、フレキシブルLAN/WANポートでリンク速度に合ったポート構成に変更することで、メインは10GbpsのWAN回線、バックアップは1GbpsのWAN回線、残った10GbpsはLAN内のNASにつなぐといったことが可能になります。

大谷:過渡期を前提に新機能を提案したのですね。

小島:今までのルーターの常識から考えたら、LAN/WANポートを固定した製品を出荷しておしまい。でも、お客さまの声を聞きつつ、次の使い方を想像すると、今までの常識と違ったユーザー側でLANとWANのポート構成を変えるという機能が提案できたんです。

手堅そうに見えて無茶してきた30年 今後もチャレンジし続ける

大谷:こうして見てきた結論としては、ヤマハって手堅そうに見えて、実はけっこう「無茶しやがって」みたいなところありますよね(笑)。

小島:一番チャレンジだったのは、2016年に出した「NVR700W」ですかね。NVRっていう型番ですが、IPsec VPNも張れるし、CPUもセキュリティエンジンも積んでいるので、基本はRTXと同じなんです。しかも無線LANではなく、LTEを内蔵したので、モバイル系のキャリアには全部足を運びました。電話機能や小型ONUまで搭載している。RTX1500くらい、いろいろと盛り込んだユニークな製品です。

大谷:どういう経緯でこれに至ったんですかね(笑)。

小島:そういう意味では、LTEはニーズがあるのか、電話の機能はもう使わないのかなど、世に問うてみたいという商品でした。先日参考出展した「NWR100」も小規模なオフィスのニーズを知るための試金石でもあります。NetVolante時代のような電話機能も、バックアップもないけど、Wi-Fiは搭載しているというルーターが、どのように使われるのか。日本の中小企業のネットワークにどんなニーズがあるのか改めて知りたいと思っています。

Interop Tokyo 2025で展示されたNWR100のプロトタイプ

大谷:そういったチャレンジ精神も踏まえ、ヤマハネットワーク製品の今後みたいな話をしていただけると。

小島:はい。つねにチャレンジしてきたし、若手にもこういうチャレンジを続けてほしいですね。たとえば、AIの導入なんて、まさにチャレンジしがいのある領域だと思います。

大谷:AIをヤマハのネットワーク製品がどのように身近にするのかは楽しみですね。

小島:あとは、ヤマハもネットワーク製品がルーターだけではなく、スイッチ、無線LANと拡がってきたので、お客さまのネットワークの規模が従来より大きくなっています。たとえば、学校での導入事例の場合、今までは拠点間の接続にのみヤマハのルーターが使われていたのですが、今ではスイッチや無線LAN アクセスポイントまでをカバーできるようになっています。

こういった事例では、ネットワークをトータルで管理できるソリューションが必要になります。また、セッション数やトラフィック量の限界にも挑戦していかなければなりません。先日のInterop Tokyo 2025では100Gbps対応したスイッチやセッション数を大幅に引き上げたRTX840などを参考出品しましたが、まさにチャレンジ領域と言えるものです。今後の展開にもご期待いただければ。

大谷:楽しかったです。ありがとうございました!

RT107eが表紙だったNETWORK MAGAZINEを前に

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