著作権訴訟で「Batman」検索には対応も
もう一方で、注目されているのはMidjourneyを相手どった著作権裁判です。ディズニーやNBCユニバーサル(マーベルなどを含む)など複数の関連制作会社が6月、Midjourneyによる著作権侵害を理由に連邦裁判所に訴訟を起こしました。アメリカの著作権法の「フェアユース」がどこまで認められるかが重大な争点です。生成AI各社が直面する学習モデルの学習データに著作物がどの程度認められるのかという争いの1つになります。
ディズニーはMidjourneyに対し、自社のキャラクター生成を防止するフィルタリングを講じるよう求めていましたが、十分な対応がなかったことが提訴の引き金になったとされています。Midjourneyでは、他のユーザーが生成したものを検索して表示する機能があります。例えば、「Batman」と入れると、ユーザーが生成したバットマンの画像の一覧が表示されるというわけです。性的な連想をさせるワードは軒並み表示できなかったため、フィルタリングをかけていなかったのはMidjourneyの方針であったと考えられます。
生成した画像が著作権侵害をしていないかは、ユーザーの責任というのが基本的な画像生成AIサービスの一般的な立場ですが、それらのユーザーデータがすべてサーバに残り、他のユーザーにも閲覧可能な状態であったため、ディズニーは他社コンテンツをプロモーションに利用していると主張しているのです。
ただ、提訴後しばらくして、対応をしたようです。現在では、「Batman」「Starwars」「Mickey Mouse」などのキャラクターやIP名を入れても検索結果は表示されなくなりました。ただし、単純な抜け道もあり、バットマンシリーズの映画タイトル「dark knight」と入力すると表示されます。同じように「pikachu」では検索結果は出ませんが「pika」では出るようになっています。このあたりはディズニー側の主張に、Midjourneyはどう反論していくのかに注目が集まっています。
まずは立ち上げ成功、裁判の行方に注目
7月2日のMidjourneyがユーザーに開発状況を共有する「Office Hours」で明らかにされたところによると、今後は動画の高解像度化や、開始フレームだけでなく終了フレームの指定機能、ループ再生機能が告知されており、さらに高速生成機能などを順次実装していくようです。これまでのMidjourneyと同様に、毎月単位でじわじわとアップデートをかけていくものとみられます。まず、動画を黒字化できるような環境を作っていくのでしょう。
Midjourney Videoは、まずは世界的な立ち上げに成功したといえます。AI動画導入のハードルを大きく下げ、今後も一般に広がっていくと予想できます。一方で、著作権を巡る裁判がどうなっていくのか、今後の動きにも注目です。

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