いよいよ導入ハードルが低くなってきた監視カメラソリューション
盗難事件が多い昨今「カメラ+AI」はまさに旬 ネットワーク機器の管理はクラウド型へ
2025年06月19日 07時00分更新
昨今はニュースになるような悪質な盗難・窃盗事件も多く、監視カメラは注目度の高いソリューションになっている。Interop Tokyo 2025でも既存の無線LAN APやスイッチに、ネットワークカメラを組み合わせた監視ソリューションの展示が各社で行なわれていた。
ネットワーク管理も、カメラ用のソフトも無償提供するTP-Link
安価な個人・スモールビジネス向けのネットワーク機器を提供するTP-Linkは「Omada」ブランドのビジネス向けネットワーク機器を展示。ハードウェアを購入すると、管理機能が付いてくるという太っ腹な戦略をアピールした。
注目は最新のWi-Fi6の2.4倍の速度を実現するWi-Fi7対応の無線LAN製品。薄く円形の筐体が印象的な天井取り付け型のほか、壁面取り付け型、屋外型のAP製品群が披露。無線LAN APのほか、有線のスイッチ、ルーターなどのネットワーク統合管理機能が用意されており、クラウド版サービスやオンプレミス版のソフトウェアは基本無償で利用できる。
「VIGI」ブランドの監視カメラソリューションも展示されていた。ドーム型、パレット型、タレット型、パンチルト型、魚眼型などの形状のほか、2MP~8MPの解像度、ナイトビジョン、電源供給、ローカルストレージ対応、マイクやスピーカーの有無などで非常に多くの製品が用意されており、会場では一部の機種での撮影デモが体験できた。人物やイベントを検知するAI機能も利用でき、アラート機能と組み合わせて、高い抑止力の監視を期待できる。
VIGIブランドの監視カメラで撮影した画像を管理するVMS(Video Management Software)はオンプレミス版・クラウド型がともに無償でできる。最大64チャンネルのライブビュー、イベントや時間ごとの動画再生、リアルタイムでのマップ監視、配置の計画を支援するデザインツールなども用意されており、機能面も充実している。
AIで危険行動を事前に感知する「コンテキストAI管理」を披露したEnGenus
1999年に創業され、累積出荷数で100万台を突破している米国のネットワーク機器ベンダーEnGenius。Interop Tokyoの展示会場では、ホテルや学校での利用が多いというWi-Fi6/7対応のAPやスイッチを披露。ネットワーク機器の一元管理を可能にする「EnGenius Cloud」は基本は無償で利用でき、保守や見える化に貢献するという。
こちらも監視カメラソリューションを展開。同社の「EnGenius Cloudカメラ」はAI処理に特化したNPUを搭載し、人物や車両のリアルタイム検出、即時アラート、インテリジェントな映像検索、統計分析が可能になっている。また、256/512GBのストレージを内蔵し、データの保存や解析をエッジ型で実行できるのも特徴だ。
注目したいのは、映像に映った人物の一連の行動をリアルタイムに把握し、危険行動を事前に検知する「コンテキストAI管理」だ。転倒事故、職場暴力、侵入、放火、不法投棄など30種類以上の検知シナリオが用意されており、即時アラートで危険を防ぐという。AIの進化で検知能力はどんどん向上され、さらに検知ルールのカスタマイズも可能になる予定だ。監視業務を人間とAIが共同で行なうのもそれほど先ではない。
従来、高価で使い勝手という点でもなかなかハードルが高かった監視ソリューション。しかし、ネットワークカメラが低価格化し、クラウドへのデータ保存やAIによる自動解析機能が実用的になってきた。悪質な盗難・窃盗事件などに対策したいが、人手はかけられないという企業にとって、AIを活用した監視ソリューションは有効な選択肢になるはずだ。

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