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「遅延は最短0.1秒」で双方向の反応を可能にするGPAP over MoQ技術を共同開発

ライブビューイングでもコール&レスポンスがしたい! ヤマハとNTT Comが新技術

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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双方向のライブビューイング体験で「同じ空気感を共有できる」

 メディアに披露された実証実験では、ヤマハ銀座スタジオ内の2会場(地下2階と6階)をつなぎ、本会場からサテライト会場にライブ音声と映像、そして照明(ムービングライト)の制御データ(DMX)を伝送して、臨場感のあるライブビューイングを実現した。

サテライト会場では、本会場のライブ演奏と同期した照明演出が行われた

 一方で、本会場側の客席背後には、サテライト会場の様子を伝える大型のスクリーンやスピーカーが用意され、アーティストとのコール&レスポンスや手拍子が行われた。

 演奏を終えたアーティストの小林佳さんは、今回のライブについて「場所の制約を超えて、同じ空気感を共有することができる。音楽の可能性と新しい感動を感じました」と語った。

本会場側でもサテライト会場の様子が分かる仕組み

実証実験で演奏を披露した小林佳さん

 GPAP over MoQの開発では、多彩な規模のイベントでの活用を考えて、公衆インターネット回線や5G回線での接続もフォーカスに入れたという。もちろん、IOWN APNのような超低遅延ネットワークで接続できれば非常に高品質なライブビューイングが実現できるが、それだけでは用途が限定されてしまう。

 「最近では、災害被災地にアーティストが足を運び、ドネーション(寄付)ライブをやるようなケースがある。たとえば、こうしたライブの“プラスα”として、現地には行けないけれども、アーティストが自分の住んでいる所からライブを行って被災地の方々を応援する。そういう世界観も、ぜひ実現していきたい」(小松氏)

 両社では今後、ライブホールなどのパートナーもまじえて、さらなる実証実験の積み重ねと品質の向上、ビジネス化に向けた検討を進める方針。NTT Comでは、2026年度中に有償サービスとしての提供開始を目指すとともに、地方でのライブビューイング提供も検討していく。またヤマハでは、音楽ライブの新たな付加価値として提案を行うとともに、今後の事業展開も見据えながら、さまざまな領域でのニーズ開拓を進めていくとしている。

 なお今回のGPAP over MoQについては、6月11~13日に幕張メッセで開催される「Interop Tokyo 2025」の出展ブースでも紹介される予定だ。

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