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ASRockの原口さんに訊く今選ぶべきインテル Z890 チップセット搭載マザーもご紹介

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

2025年06月17日 10時00分更新

文● ジサトライッペイ 検証●加藤勝明(KTU) 編集●ASCII

提供: インテル株式会社

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DDR5-6400(定格)とゲーミング性能を比較

 それでは検証環境をご紹介しましょう。CPUはCore Ultra 9 285K、ビデオカードはRadeon RX 9070 XT搭載モデルを準備。メモリーモジュールは前述のv-color製モジュールを使用し、ポン付け(BIOSの自動認識に任せた状態)とインテル® 200S ブーストでDDR5-8000動作の状態を比較します。また、比較用にCrucial製のDDR5-6400モジュールも用意し、XMPでDDR5-6400動作にしました。

 GPUドライバーはRadeon Softwareの25.5.1を使用。Resizable BARやSecure Boot、メモリー整合性およびカーネルモードのハードウェア適用スタック保護、HDRなどはひと通り有効化しました。さらに、インテルの「Intel APO(Intel Application Optimization)」を併用し、ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定。

検証環境
CPU インテル「Core Ultra 9 285K」(24コア/24スレッド、最大5.7GHz)、
AMD「Ryzen 7 9800X3D」(8コア/16スレッド、最大5.2GHz)
CPU
クーラー
EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザー
ボード
ASRock「Z890 LiveMixer WiFi」(インテル® Z890 チップセット、BIOS 3.03)、
ASRock「X870 STEEL LEGEND WIFI」(AMD X870 チップセット、BIOS 3.26)
メモリー v-color「Manta Xfinity RGB DDR5 TMXFCL2488842WSK」(24GB×2、DDR5-6400/8000で運用)、Crucial「Crucial Pro CP2K16G64C38U5B」(16GB×2、DDR5-6400で運用)
ビデオ
カード
ASRock「AMD Radeon RX 9070 XT Steel Legend Dark 16GB」
(Radeon RX 9070 XT、16GB GDDR6)
ストレージ Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)
電源
ユニット
ASRock「Steel Legend SL-850G」(850W、80 PLUS GOLD)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2)
インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

CPUはCore Ultra 9 285K

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

マザーボードはASRockのZ890 LiveMixer WiFiを使用。BIOSは検証時点で最新の3.03を利用しました。もちろん、インテル® 200S ブーストに対応しています

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

比較用のCPUはRyzen 7 9800X3D

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

AMD環境のマザーボードはASRockのX870 STEEL LEGEND WIFI

インテル® 200S ブーストの効果は絶大!!

 ゲームの解像度はフルHD(1920×1080ドット)のみで、そのゲームタイトルの最高画質設定を使用しました。また、アップスケーラーやフレーム生成(以下、FGと略)も利用する設定です。

 また、フレームレートの測定はすべて「CapFrameX」を使用し、フレームレート計算には画面更新のタイミング(MsBetweenDisplayChange)基準にしました。以降のグラフ中では、縦軸に並ぶ項目は次のような意味となります。

Core Ultra 9 285K@DDR5-6400:インテル® 200S ブーストなしでBIOS自動認識のDDR5-6400動作(v-color製モジュール)

Core Ultra 9 285K@XMP-6400:インテル® 200S ブーストなしでIntel XMPを利用してDDR5-6400動作(Crucial製モジュール)

Core Ultra 9 285K@インテル® 200S ブースト:インテル® 200S ブーストありでDDR5-8000動作(v-color製モジュール)

Ryzen 7 9800X3D:AMD EXPOを利用してDDR5-6400動作(Crucial製モジュール)

「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」

 モンスターハンターワイルズ ベンチマークでは、画質「ウルトラ」+RT「高」+FSR 3「クオリティー」+FGで検証。ベンチマーク再生中のフレームレートを計測しました。

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

モンスターハンターワイルズ ベンチマーク:1920×1080ドット時のフレームレート。画質「ウルトラ」設定の場合

 インテル® 200S ブーストの効果は非常に高く、最低フレームレートも平均フレームレートもDDR5-6400設定よりも大きく伸びました。Ryzen 7 9800X3Dとの差はだいぶ短縮しており、これなら同程度の快適さが期待できます。

 なお、Core Ultra 9 285Kのv-color製モジュールとCrucial製モジュールで、DDR5-6400動作どうしの差を見ると、ある程度メモリーモジュールのパラメーターも影響するようですね。

「Cyberpunk 2077」

 Cyberpunk 2077では、画質「レイトレーシング:オーバードライブ」+FSR 3の「クオリティー」+FGの設定(以下、レイトレーシングはRTと略)で検証。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測しました。

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

Cyberpunk 2077:1920×1080ドット時のフレームレート。画質「RT:オーバードライブ」設定の場合

 RT:オーバードライブ設定ではGPU側に強烈なボトルネックが発生し、全体的にフレームレートの差が一気に短縮。このような状況でもインテル® 200S ブーストはフレームレートがいくぶん上がり、Ryzen 7 9800X3Dと同等になりました。

「Last of Us Part II Remastered」

 Last of Us Part II Remasteredの画質は「非常に高い」を選択。FSR4で「クオリティー」に設定し、FGを有効化しました。冒頭付近、エリーが雪山を馬でパトロールするシーンにおけるフレームレートを計測。

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

Last of Us Part II Remastered:1920x1080ドット時のフレームレート。画質「非常に高い」設定の場合

 画質「非常に高い」設定ではインテル® 200S ブーストの効果が抜群です。最低フレームレートこそ負けたものの、平均フレームレートではRyzen 7 9800X3Dを明確に超えました。

「The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered」

 The Elder Scrolls IV: Oblivion Remasteredは画質「最高」+RT最高+FSR 3「クオリティー」+FGで検証。「ウェイノン修道院」より一定のコースを移動した際のフレームレートを計測しました。

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered:1920×1080ドット時のフレームレート。画質「最高」設定の場合

 レイトレーシングの設定を盛っても、インテル® 200S ブーストのおかげで35〜54%と大きく伸び、Ryzen 7 9800X3Dに近しい成績に。Cyberpunk 2077はパストレーシングという非常に重い技法を使っているのに対し、このタイトルではLumenエンジンでずっとシンプルで軽い処理になっているからです。

「DOOM: The Dark Ages」

 DOOM: The Dark Agesでは画質「ウルトラナイトメア」+FSR 3「クオリティー」+FGでテスト。ゲーム側のテクスチャープールサイズは最大(4096MB)に設定しました。キャンペーン最初のステージにおいて一定のコースを移動した際のフレームレートを計測。

インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証

DOOM: The Dark Ages:1920×1080ドット時のフレームレート。画質「ウルトラナイトメア」設定の場合

 こちらもインテル® 200S ブーストの効果がはっきりと確認できました。Ryzen 7 9800X3Dには惜しくも届きませんでしたが、平均フレームレートはDDR5-6400動作から90fps近く向上しています。

まとめ:インテル® 200S ブーストで死角のないCPUに

 もちろん、タイトルや画質設定、ビデオカードによってはインテル® 200S ブーストの効果が限定的になるシーンもあるかと思います。例えば、GPUボトルネックが発生するような状況ではその効果は微弱になるでしょう。

 しかし、今回使用したRadeon RX 9070 XT Steel Legend Darkのように、13万円台クラスのビデオカードなら恩恵を受けるシーンが少なくありません。また、インテル® Core™ Ultra プロセッサー 200S シリーズはCUDIMMのおかげで高クロックなOC動作で安定するメモリーモジュールが増えつつあります。

 しかも、インテル® 200S ブースト動作は故障保証の範囲内。そういった意味では、この機能はゲーミングパフォーマンスにおけるインテルの繰り出したユニークなカウンターと言えるかもしれませんね。

 CUDIMMの高クロックモデルはまだまだ高価なので、ゲームしかしないユーザーが選ぶにはややハードルが高いかもしれません。しかしながら、オールラウンドで強いPCが欲しい人にとっては、ゲーミングという弱点をサクッとつぶせる妙技だと感じました。

 もともとCore Ultra 9 285Kはゲーミング以外では優秀なCPUです。価格も下がったので、その差分を高クロックメモリーに費やし、インテル® 200S ブーストで死角のないPCを組んでみてはいかがでしょう。

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