ASRockの原口さんに訊く今選ぶべきインテル Z890 チップセット搭載マザーもご紹介
インテル 200S ブーストでゲーミング性能が上がるって本当?Core Ultra 9 285Kを9800X3Dと比較検証
2025年06月17日 10時00分更新
インテル® 200S ブーストはインテル公認のOC機能
インテル® 200S ブーストはインテル公認のOC(オーバークロック)機能で、インテル® Core™ Ultra プロセッサー 200S シリーズ(以下、Core Ultra 200Sシリーズ)のうち、「K付きモデル」とインテル® Z890 チップセット搭載マザーボードの組み合わせで限定的に利用できます。
インテル® 200S ブーストを使うと、メモリークロックを最大DDR5-8000まで引き上げ、ファブリック(SoCタイル)とD2D(タイル間の通信速度)も3.2GHzに引き上げられます。Core Ultra 200Sシリーズの定格はメモリーがDDR5-6400、ファブリックは2.6GHz、D2Dは2.1GHzなのでかなり大きく向上するイメージですね。
Core Ultra 200Sシリーズの弱点とされる低レイテンシーが求められる作業(ゲーム処理の多くが該当)には、CPUコアよりもD2Dなどの足回りを強化するほうが有効的です。ゆえに、インテル® 200S ブーストを利用することで、Core Ultra 200Sシリーズのゲーミングパフォーマンスの向上が期待されております。
また、OC動作になるものの、CPUの破損についてはインテルの定める3年保証の範囲内でカバーされる点もインテル® 200S ブーストの特徴の1つです。しかしながら、メモリーやマザーボードの故障はインテルはカバーできません。そこのところは一体どうなっているのか、実際に使用するにはどうしたらよいのか? など疑問が多い機能でもあります。
そこで、今回は業界の事情通であるASRock広報の原口さんに、導入方法も含めて素朴な疑問点を訊いてみました。
インテル® 200S ブーストの適用方法と保証について
――インテル® 200S ブーストってどうやって使うんですか?
原口さん「インテル® 200S ブーストを利用するには、対応BIOSが必要になります。そのBIOS上で機能を有効化すれば使えるようになります。インテル® 200S ブーストを有効にすると、インテルの定めた200S Boost Overclocking Profileに厳密に従う形で、さまざまなパラメーターがセットされるという仕組みです」
――インテル® Z890 チップセット搭載マザーボードなら全モデルで対応BIOSが出てるのですか?
原口さん「ASRockはハイエンドからコスパ追及モデルまで、すべてのインテル® Z890 チップセット搭載マザーボードで対応BIOSをリリース済みなので、それに更新していただければご利用できます。」
――ちなみに、保証はどうなってますか?
原口さん「動作保証という意味合いでは、組み合わせるメモリーモジュールの関係もあるので、一概にこの速度で動くという保証はできません。そこはXMP動作と似たような事情ですね。しかし、故障保証という意味合いなら、弊社のマザーボードの故障保証の範囲内になります。まあ、設定1つで壊れることはまずないと思いますが……」
――インテル® 200S ブーストで動かしやすいメモリーの条件はありますか?
原口さん「条件ってほどではないのですが、高クロックで安定動作するCUDIMMがオススメです。あと、当然ですがXMP動作でDDR5-8000以上を謳っているメモリーじゃないと、DDR5-8000で動作しないのでそこは注意が必要です」
――Core Ultra 200Sシリーズのゲーミング性能が上がるって本当ですか?
原口さん「もちろん、ゲームによって効果はまちまちだと思いますが、ASRockでも有効なタイトルは確認しています。Far Cry、The Rift Breaker、 Shadow of the Tomb Raiderにおいて、最大16%性能が向上したそうです」
以上、原口さんのご回答でした。つまり、動作保証は範囲外だけど、故障保証は範囲内で、規定のプロファイルで動かす前提ゆえにそうそう壊れることはないということです。そういった意味合いではXMP動作のOCメモリー事情と似ていますな。気になる性能向上の情報もいただけました。というわけで、ここからは実際の設定画面をご紹介しましょう。
ASRock「Z890 LiveMixer WiFi」の設定例。BIOSの「OC Tweaker」タブの上のほうにインテル® 200S ブーストの項目(Intel 200S Boost)が出現します。この「Profile 1」はXMPプロファイルのこと。これをベースにして設定してもらうのが最も簡単です
XMP対応メモリーをOCするにあたり、クロックは8000MHzかモジュールの上限値まで、さらにメモリー電圧は1.4Vにセットされるという警告が出ます。「OK」でインテル® 200S ブーストのセットアップは終了です
メモリーモジュール選びは若干注意が必要です。最大のパフォーマンスを狙いたければ、XMPでDDR-8000対応のモジュールを用意すべきですが、インテル® 200S ブーストを有効化すると、メモリー電圧は1.4Vにカットされます。メモリーモジュールの中にはXMP使用時に1.45Vを要求するものもあり、そのようなモジュールの場合、1.4Vにカットされると動作が不安定になる可能性も捨てきれません。
ちなみに、今回テクニカルライターの加藤勝明さんにお願いし、テストに使用してもらったv-color製DDR-8800モジュール「Manta XFinity RGB TMXFCL2488842WSK」はDDR-8800動作時に1.45V要求する設計でした。しかしながら、インテル® 200S ブーストでDDR5-8000動作でも問題なく利用できました。DDR5-8800のモジュールをDDR5-8000で運用したことが奏功したのかもしれません。


















