自分専用のAIリサーチアシスタント「NotebookLM」で大阪・関西万博のおすすめルートを調べる
2025年06月13日 09時00分更新
本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第19回はGoogleAIリサーチアシスタント「NotebookLM」を使って大阪・関西万博のおすすめ回遊ルートを調べる方法について解説する。
検索した情報から選ぶより「NotebookLM」に情報をまとめてもらおう
大阪・関西万博に興味はあるが、いろいろなトラブルに遭遇したというSNS投稿もよく見かける。どうせ行くなら、なるべく快適に見て回りたいので、事前調査は必須だ。普通にGoogle検索してもよさげな記事がいくつも出てくるのだが、人によって言っていることが微妙に異なる。
これまでであれば、ググるスキルを発揮し、大量の記事を読んで、重複して確度が高そうな情報を抽出していたが、手間がかかるのがネック。今は生成AIがあるのだから、その作業を任せてしまおう。
ChatGPTでもPerplexityでも万博のおすすめルートを検索して教えてくれるが、今回紹介したいのがGoogleの「NotebookLM」。生成AIのGeminiを利用したAIリサーチアシスタントだ。
NotebookLMは2023年にGoogleが実験的プロダクトとして公開したAIリサーチアシスタントツール。ChatGPTやGeminiなどの生成AIツールと異なり、自分で選んだドキュメントやウェブページの情報を元にAIが回答してくれるのが特徴だ。そのため、関係ない知識からの誤回答(ハルシネーション)を減らし、自分が提示した資料に忠実な回答を得られるようになる。また、AIが回答した内容は、原文のどの部分が根拠になっているかが明示されるため、ワンクリックでファクトチェックできるのも便利。
Googleアカウントがあれば誰でもNotebookLMを利用できる。「Google One AI Premium」プランや「Google Workspace」を使っているユーザーなら、ノートブックの作成数やノート当たりのソース数、1日にチャットできる回数などが無料プランよりも多くなる。2025年5月19日にはモバイルアプリ版の配信も開始され、より身近なツールとなっている。
検索結果のお勧めサイトの情報から必要な情報を抽出できる
まずは、「ソース」に参照元となる情報を入力する。テキストファイルやPDF、音声ファイルなどをアップロードすることができる。Googleドライブと連携することもできるし、コピーしたテキストを貼り付けてもいい。
ウェブサイトやYouTubeのリンクを追加することもできる。もし、参考にしたい動画があるなら、登録しておくといいだろう。とはいえ、ブラウザの別タブで検索し、URLをコピペで貼り付けるのも面倒。そんな時は「検索」をクリック。調べたいキーワードを入力すれば、検索し、お勧めのウェブサイトを10個提示してくれる。ソースに追加するウェブサイトを選択した状態で「インポート」をクリックすればいい。特に内容をチェックせずとも、見つかった10個のURLを何も考えず追加してもOK。
まずは、「万博の最新情報、おすすめルート、子連れ」というキーワードを入れてみた。公式サイトをはじめ、「子連れ万博」というテーマのレポート記事などがヒットした。
無料プランであれば、ノート当たりのソース数は最大50件。有料プランであれば、最大300件なのでまだまだ追加できる。次は「万博を楽しむコツ、Tips、裏技」などというキーワードで検索したサイトを追加。他にも体験レポートなどの記事も追加した。しかし、トラブル対策のために、「万博 トラブル」で検索したところ、工事の遅延や下請けへの未払い問題などがヒットしたため、これはキャンセルした。
準備ができたら、「チャット」欄の下にプロンプトを入力しよう。まずは「子連れで万博に行く際に準備しておくべきことは?」と聞いてみた。すると、AIが持っている情報やウェブ検索した情報ではなく、アップロードした情報を元に回答を生成してくれる。
NotebookLMが登場したころはPaLM 2というAIモデルを使っていたが、現在はGeminiシリーズが使われており、性能もばっちり。予約から持ち物、計画、アクセス方法など包括的な情報を提示してくれた。
「子供に人気のパビリオンは予約が早く埋まることがテストランで判明しています」や「お土産を購入する際は、人気商品は午前中の早い時間帯に売り切れることが多いため、お目当てがある場合は開場と同時に行くか、比較的空いている平日に行くのがおすすめ」など、知らなければ取り返しがつかないポイントを教えてくれるのはありがたい。
■プロンプト
子連れで万博に行く際に準備しておくべきことは?
■出力
子連れでの万博訪問を快適に楽しむためには、事前の情報収集と入念な準備が重要です。
1. チケットとパビリオン予約
万博には、17時以降にお得に入場できる**「夜間券」**というチケットがあり、大人料金が一日券のほぼ半額(大人3,700円)となっています。夜はライトアップされた幻想的な万博を楽しめ、比較的混雑も少ない傾向にあるため(特に平日の夜)、子どもにもやさしい時間帯と言えます。
~略
出力の中に、数字のリンクが用意されており、クリックすると参照したソースが左側に表示される。「新しいタブで開く」ボタンをクリックすれば、元のウェブページを表示することも可能。ファクトチェックしたり、さらに詳細な周辺情報を知りたいときに活用しよう。
ノートを作っておけば現地ではアプリをガイドブック代わりにできる
あとは気になったことを存分にチャットで聞きまくればいい。有料プランなら500回質問できるが、無料プランだと1日50回まで。単発の会話を繰り返すのではなく、ある程度欲しい情報が得られるようにプロンプトを作るのも手だ。
例えば、「子供に人気のパビリオンは?」や「子供に人気のレストランは?」ではなく、「子どもに人気のパビリオンやレストラン、お土産屋、休憩スポットはどこ?」とまとめて聞くといい。
役に立つ情報が得られたら、出力の一番下にある「メモに保存」をクリックして取っておくこともできる。とは言え、チャット回数に余裕があるなら、必要な時にいつでも聞けばいいので、特に利用しなくてもいいだろう。
一度、ノートを作成しておけば、モバイルアプリで検索するのも簡単だ。現地ではNotebookLMアプリをガイドブックのように活用できるのが超絶便利だ。
以上が、自分専用のAIリサーチアシスタント「NotebookLM」で万博のおすすめルートを調べる方法となる。もちろん、万博の情報だけでなく、新規参入を検討している事業領域の情報を調べてもいいし、契約書のPDFをアップロードしてもいい。社内情報を入れて、総務部門の問い合わせ窓口として活用する手もある。GoogleはNotebookLMで読み込ませた資料・会話履歴をAIモデルの学習データに流用しないと明言しているのでビジネス活用も問題なし。
NotebookLMは、従来の情報整理ツールの概念を大きく変える可能性を持ったサービスだ。AIに文章を要約させたり、資料を横断して素早く知見を引き出すといった作業は、今後ますます重要性を増すはず。今後も機能強化が続くので、今のうちに使い始めることをお勧めする。
AIで何とかしたい業務を大募集!
「簡単すぎて驚く生成AIの使い方」で取り上げてほしいAIの使い方を大募集。「この作業をAIで時短したい」「こういうことがしたいけどプロンプトはどう書けばいい?」など、お困りのことを解決します。
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新サブスクプラン「Google AI Ultra」登場! プロの創造性と生産性を加速させる「VIPパス」となるか
Googleは2025年5月、新しいサブスクプラン「Google AI Ultra」を発表した。これは、従来の「Google One AI Premium」(現「Google AI Pro」)のさらに上位に位置づけられる最上位プランとなる。月額249.99ドル(約3万6000円)、初回3ヵ月は半額の124.99ドル(約1万8000円)という価格設定からも、本気度が伺える。すでに日本でも利用でき、筆者も契約している。
Google AI Ultraプランの売りは、最新AIモデルへのアクセス権と、専門的な作業を支援する強力なAIツール群。「Gemini 2.5 Pro」で、より高度な推論能力を付加した「Deep Think」機能を利用できる。多段階の複雑な推論や計画立案、創造的な問題解決といった、より高度な認知タスクへの対応が期待されている。
最新かつトップクラスの性能を持つ画像生成AI「Veo 3」も利用できる。1080pの高解像度でより長い尺の動画を生成できるほか、ユーザーの指示に対する忠実度や映像内の一貫性も向上している。AIツール群も充実しており、AIを活用した動画編集ツール「Flow」やAIが手順を自動組み立て・実行する自動化エージェント「Agent Mode」、AIがレシピ考案や調理プロセスを支援する「Whisk」なども含まれている。
Google AI Ultraは、まさに「GoogleのAI技術の粋を集めた“全部盛り”プラン」で、その活用シーンは多岐にわたる。3ヵ月後に、通常料金に戻る際、利用を続行するのかどうか自分でも楽しみだ。

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