メディアテックが語るAI戦略、クラウドAI分野でカスタムシリコンに注力 COMPUTEX2025基調講演
2025年05月20日 22時10分更新
NVIDIAとの協業も重要な柱
ツァイ博士は、NVIDIAとの協業も重要な柱であると話し、クラウド開発者向けAIスーパーコンピューター「DGX Spark」を共同開発したことを紹介。このGB100 Grace-Blackwell Superchipは、メディアテックが設計した20コアARM CPU(Cortex-X925 x10、Cortex-A725 x10、3.9GHz以上)とNVIDIA Blackwell GPUで構成され、1000 AI TOPSまたはペタスケールAI性能を実現する。最大2000億パラメータのAIモデルをローカルで実行可能だ。チップ間接続にはNVLinkを使用する。
さらに、メディアテックはNVIDIAが提唱するNVLink Fusion ASICモデルの初期パートナーであることをアピール。これは、NVIDIAのNVLink/Spectrum Xファブリックに、パートナー企業のCPUやASICといったIPをチップレットとして接続する新しい協業モデルだ。これにより、差別化されたソリューション、低いTCO、迅速な市場投入を顧客に提供することを目指すと、ツァイ博士は話している。
メディアテックは、TSMC、NVIDIA、Arm、Synopsis、Cadenceといった強力なエコシステムパートナーとの緊密な連携を通じて事業を推進している。ツァイ博士は、特にArmとはコアアーキテクチャレベルでの協力を行なっており、TSMCとは設計技術協最適化(DTCO)やシステム技術協最適化(STCO)で緊密に連携しているとのこと。
ツァイ博士は将来の6G時代においても、AIアシスタンスが鍵となると見込んでおり、メディアテックは6G技術においても主導的な地位を確立することを目指すと話していた。
基調講演の後半では、NVIDIAのCEO ジェンスン・ファン氏が登場し、メディアテックCEOのリック・ツァイ博士と対談。両社の強力なパートナーシップを強調した。
特に、クラウド開発者向けのAIスーパーコンピューター「DGX Spark」を共同開発したことが紹介された。ジェンスン氏は、異なる企業が設計したこれほど複雑なチップレットが、初回稼働でもフルスピードで動作したことを「奇跡に近い」と称賛。
ジェンスン氏は、コンシューマー製品だけでなく大規模なAIインフラに多大な投資を行ない、優秀なAI研究者を多数擁するメディアテックの実力を高く評価。自動車分野での協業についても触れ、メディアテックのマルチメディア技術と組み合わせることで、車をホームシアターのような体験空間に変えることに期待を示していた。

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