Timex 80 グローインザダークを衝動買い。文字盤を照らすIndiglo(インディグロ)は、タイメックスの安価な実用腕時計ではおなじみの技術だが、このモデルはバンドやケースまでインディグロによって明るくする
腕時計の世界には、単なる時間を示すだけでなく、その存在自体が個性やスタイルを表現するモデルがある。タイメックス(TIMEX)の「Timex 80 グローインザダーク」(T80 GIDモデル)も、そのひとつだろう。
この時計は、単なる実用性を超えた“光るギミック”で、多くの腕時計愛好家の心を捉えてやまない。T80 GIDモデル、昨年秋に発売直後に衝動買いしたモノだったが、当コラムでご紹介するのを忘れていたアイテムだ。
腕時計の蓄光技術はさまざまに進化してきた
長短2針や秒針まで含めると3針ある一般的なアナログ腕時計の蓄光技術は、もともと軍事用や過酷な環境での使用を想定して開発されたものだ。戦場や夜間任務での視認性向上のため、ラジウムやトリチウムなどの放射性物質が初期には使われていた。しかし、安全性の問題からこれらは次第に姿を消し、代わりに化学的に安定した蓄光素材や発光技術が進化してきた。
デジタル腕時計も同様で、タイメックスが誇る「インディグロ・ナイトライト」もその1つだ。
いわゆる“チプカシ”の多くはLIGHTボタンを押すと画面の左端で照度の低いLEDライトが点灯し文字盤を側面から照らし現在時刻を読み取る仕組みである。残念ながらHHMMSS(時:分:秒)の横長配列の画面だとMMあたりにまで光が届きにくく、見づらい感じがある。
一方、時刻表示画面の全体が発光するイメージのインディグロ・ナイトライトでは画面の隅々まで均等に照らされるので、時刻の見やすさは圧倒的に格上。1992年に登場したこの技術は、文字盤全体を裏から均一に照らし出す革新的な仕組みで、ボタンを押すと時計全体が青緑色に発光する。
全体に柔らかな光を広げる構造で、映画館や暗所での利用でも周囲の人に悪い印象を与えず、オーナーは現在時刻を見やすいという特長がある。これは従来の部分的な発光に対する大きなアドバンテージだ。
“全身が光る”腕時計
チプカシと比較しても光る、T80 GIDモデルの特異性
通常のインディグロ・ナイトライトは、文字盤のみを光らせる技術だが、今回ご紹介する「T80 GIDモデル」は、その一歩先を行く。時計全体が蓄光素材で構成され、バンドからケース、ベゼルに至るまで、文字盤を超えて時計全体が光を放つというユニークな特性を持つ。
T80 GIDモデルは、2011年に日本市場で限定数量でリリースされた「幻の光るタイメックス」の復刻版にあたる。当時は雑誌で取り上げられると即完売するほどの人気を誇り、その後2度と市場に出回ることがないと考えられていた。しかし、今回はその伝説的なモデルの再来とも言える存在で、最新技術とクラシックデザインの融合を実現している。
T80 GIDモデルは、1980年代から90年代にかけてデジタル腕時計ブームの火付け役となった“角デジ”こと「Classic Digital」をベースにしており、そこから生まれたT80はイタリアのファッション感覚を取り入れたカラフルなデザインが特徴のモデルだ。
そのクラシックデジタルであるT80をベースに作られたのがこのT80 GIDモデルであり、レトロなデザインと現代の技術、そして遊び心の3つが融合した一本と言える。

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