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本気で描くならこれ一択かも 新型「Wacom Intuos Pro」が完成度高すぎた件

2025年05月07日 19時00分更新

文● イチ/ASCII 編集⚫︎ASCII

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タブレットにはない良さがある液タブの魅力

 「久しぶりに絵でも描いてみようかな」と思った人、いるんじゃないでしょうか。学生時代にマンガを描いていたとか、趣味でイラストを描いていたという人も、最近はiPadやスマホばかりで「ちゃんと描く」のからは離れていたかもしれません。

 でも、やっぱり紙に近い感覚で、腰を据えて描きたい。そんなときに気になってくるのが、ペンタブレットの存在です。

 マウスじゃ思った線が引けないし、液タブはちょっと大きすぎる—。そんなちょっとマニアックだけど、本気度のある層にとって、「板タブ」は今もなお有力な選択肢です。

 そしてその中でも、プロ向けの王道とも言えるのが「Wacom Intuos Pro」。2025年春にリニューアルされたこのモデルは、ただの板タブじゃありません。内部構造から見直され、描き心地や持ち運びやすさ、そして操作性まで、すべてが一段上のクオリティに進化しています。

 具体的には、背面にマグネシウム合金を採用し、軽さと頑丈さを両立。厚さはわずか4〜7mmと非常に薄く、持ち運びや収納にも困らないデザインです。サイズ展開はSmall、Medium、Largeの3種類で、価格こそ違いますが、自分の作業スタイルやデスクの広さに合わせて選べます。

 またWacom Intuos Proは初めてデュアルペンテクノロジーに対応。付属のWacom Pro Pen 3やWacom Pro Pen 2などのPro Penシリーズのほか、パイロットやLAMY、ステッドラーなど有名文房具メーカーとのコラボペンも使用することができます。

 そのほか、Bluetooth接続やマルチデバイス対応、ペンのカスタマイズ機能など、制作の自由度を高める要素が満載。そんな新しいWacom Intuos Proの特徴を詳しく紹介していきます。

Wacom Intuos Proのメリット

メリット1:より自然な描き心地を実現した「Wacom Pro Pen 3」

 新しくなったWacom Pro Pen 3は、使う人に合わせてカスタマイズできるのが大きな特徴です。筆圧は8192レベルに対応し、±60度までの傾きも検知できるので、線の強弱や角度によるニュアンスもしっかり表現できます。

 また、グリップやサイドスイッチ、ペンの重さまで調整できるので、手にしっくりくる使い心地を追求できます。芯も標準タイプに加えて、フェルト芯やラバー芯が用意されており、描き味の違いを楽しむことも可能。バッテリー不要で、思い立ったときにすぐ描けるのも嬉しいポイントです。

 加えて、Wacom Intuos Proは、付属のPro Pen 3だけでなく、Wacom Pro Pen 2のような旧世代のワコムプロペンや、PILOT、LAMY、STAEDTLERなどのEMRテクノロジーを採用したスタイラスペンにも対応。自分の手に馴染む一番いいペンをつかえるのも魅力ですね。

メリット2:作業スタイルに合わせて選べる3サイズ展開

 Intuos Proは、Small、Medium、Largeの3サイズで展開されています。どのモデルも16:9のアクティブエリアを採用しており、横長のモニターとの親和性が高く、画面上の操作が自然に行えます。

 特にSmallモデルは、重さが約240gととても軽く、カバンにもサッと入るサイズ感。出先でのスケッチや、ノートPCと一緒に使うのにもぴったりです。広い作業領域が必要な人には、MediumやLargeがおすすめ。作業スペースに合わせて選択肢が豊富なことは、大きなメリットといえそう。

 旧製品と比較するとモデル自体はコンパクトになりながらも描写スペースは広くなっているため、Wacomユーザーであれば、より使いやすくなったと思えるのではないでしょうか。

メリット3:自分に合わせた操作環境が整えられる「Wacom Center」

 Intuos Proにはカスタマイズ可能なExpressKeyやメカニカルダイヤルが配置されていますが、操作ボタンは専用ソフト「Wacom Center」で細かくカスタマイズ可能です。

  PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTといったソフトごとにショートカットを設定すれば、作業の効率がぐっと上がります。

 ダイヤル自体は回したときの感触がしっかりと伝わる設計になっていて、手元を見ずに操作できるのも便利。左右どちらの手でも使いやすい位置に配置されているので、利き手を選ばず快適に使える点も好印象でした。

とはいえ、ここには注意したい

Smallサイズはやや手狭に感じることも

 コンパクトで持ち運びやすいSmallモデルですが、やはり本体自体が小さいため作業領域は他サイズに比べて狭めです。

 細かい作業や広いキャンバスを扱うときには、少し窮屈に感じるかもしれません。外出先用やサブ機としては便利ですが、メインでじっくり描くならMedium以上のサイズを検討した方がいいかもしれません。

プロ向けゆえの価格には注意が必要

 Intuos Proは非常に高性能なタブレットですが、そのぶん価格もプロ向け。Smallが4万1580円、Mediumが6万2480円、Largeは8万2280円と、気軽に手を出せる価格帯ではありません。

 機能をフル活用する人にとっては十分に価値のある投資ですが、用途が限られる人にはややオーバースペックに感じることもありそうです。

薄く、正確で、機能的な板タブの理想形

 Wacom Intuos Proは、描き味、操作感、持ち運びやすさ、互換性、そしてカスタマイズ性まで、すべてがワンランク上の完成度にまとまったプロ向けモデルです。

 とくにこのモデルでは内部構造が刷新され、タブレット本体はより薄く軽く、しかし背面はマグネシウム合金でしっかりとした剛性も確保。移動の多いクリエイターにとっては、持ち運び前提でも信頼できる相棒となるはずです。

 付属のWacom Pro Pen 3は、描き手の手の形や好みに合わせて調整可能で、筆圧検知や傾き検知も従来通り優秀。複数アプリや環境での作業を効率化するExpressKeyやダイヤルも、より直感的に操作できる配置へと進化しています。

 一方で、Smallサイズでは物理的な作業エリアの限界があるため、本格的な作画にはMedium以上を検討したいところ。また、価格帯は決して安価ではないため、自分の用途としっかり向き合った上で選ぶ必要はあります。

 それでもなお、Wacom Intuos Proは「ちゃんと描きたい」すべての人にとって、十分に選ぶ価値のあるペンタブレットです。

 iPadでのイラスト制作が主流となりつつありますが、あくまでこちらはイラスト・制作特化。プロ用途はもちろん、趣味で本格的に絵を描いてみたい人にも、長く付き合える1台としておすすめできる仕上がりという印象でした。

Wacom Intuos Proのスペック

モデル
 Small: PTK470、Medium: PTK670、Large: PTK870

サイズ展開:
 Small、Medium、Large

製品寸法(長さ×幅×高さ):
 Small 215×163×4〜7 mm
 Medium 291×206×4〜7 mm
 Large 377×253×4〜7 mm

読み取り可能範囲(アクティブエリア):
 Small 187×105mm
 Medium 263×148mm
 Large 349×195mm

重さ:
 Small 240g
 Medium 411g
 Large 660g

ExpressKey:
 Small×5
 Medium/Large×10

ダイヤル:
 Small×1
 Medium/Largeサイズ×2

接続性:
 USBケーブルでの有線接続 & Bluetooth 5.3

バッテリー:
 内蔵リチウムイオンバッテリー

連続動作時間:
 最大16時間

充電時間:
 急速充電で2時間、満充電まで3.5時間

付属:
 Wacom Intuos Pro本体 (Small, Medium, Large いずれか)
 Wacom Pro Pen 3およびアクセサリー
 ペンスタンド (標準芯5本、フェルト芯3本、ラバー芯2本、芯抜き含む)
 USB-C to Aケーブル (1.8m) など

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