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ライブに最適化した、新しいAI画質モードも新開発

生成AIと直接会話できるテレビが登場、「レグザインテリジェンス」が取り戻す、テレビ本来の価値とは?

2025年04月08日 16時00分更新

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 TVS REGZAは4月8日、2025年春 商品発表会を開催した。AI技術を積極活用した4Kレグザの新シリーズを投入する。テレビと話しながら、自然な言葉でネットや録画した番組を絞り込んでいける点に注目だ。

 新製品は「X9900R」「Z970R」「Z770R」「Z670R」の4シリーズ10モデル。テレビの新製品となる全機種が生成AIとの対話機能を搭載予定だ。これに加え、同社初のカテゴリーとなる4Kレグザレーザープロジェクター「RLC-V7R MAX」「RLC-V7R」もメディア関係者に公開された。

 これらの新製品の価格はすべてオープンプライスだ。

レグザインテリジェンスを搭載、AIを積極活用

 新しいレグザには、CESで技術発表がなされたAI技術「レグザインテリジェンス」が搭載されている。高画質・高音質技術、便利な機能(タイムシフトマシン、AIボイスナビゲーターなど)、そして充実したゲーミング機能などが特徴だ。

 また、ダブルウィンドウ機能も復活。HDMI入力、放送だけでなく、YouTubeなどのネット動画なども入力ソースに選べる。放送、ネット動画、外部機器で再生中の映像を、一つの画面で同時に視聴可能になるため、攻略動画を見ながらのゲームプレイや、AirPlayのミラーリング機能を使いながら視聴者と一緒に実況を楽しむ使い方など、新しいテレビの楽しみ方を広げられる。

 新カテゴリーとなる、レーザープロジェクターは、RGB3色のレーザー光源による高輝度・広色域の再現に加えて、設置する場所や角度の自由度が高いジンバル構造のスタンドを採用。Google TVを搭載している。

4Kレグザは有機ELとMini LED液晶のツートップ戦略を継承

 X9900Rシリーズは有機ELテレビのハイエンドモデルで、指定したチャンネル(地上デジタルを最大6ch)を全自動で録画するタイムシフトマシンに対応。

 新開発の機能であり、レグザインテリジェンスの中核をなすのが「AIボイスナビゲーター」だ。グーグルのGeminiと連携し、具体的な音声コマンドではなく日常的で曖昧な会話に対して、適切なコンテンツを提案してくれる。レスポンスも早い。

 これまでのテレビでも、声で操作できるものはあったが、それとは一線を画すユーザー体験が得られそうで期待大だ(対話形式は2025年夏にソフトウェアアップデートで対応予定だ)。

 画質面では、新開発の高輝度広色域 RGB4スタック有機ELパネルを搭載し、従来比約1.3倍の輝度向上と約1.1倍の色域拡大を実現したほか、新開発の低反射ARコートにより、外光の映り込みを約3割低減できるという。

 シーンに合わせて最適な画質設定を選ぶ「AIシーン高画質 PRO」では、夜景、花火・星空、リング競技に加え、新たに「ライブシーン」の認識が可能となった。ライブシーンではアーティストの顔の白飛びを抑制し、アクセサリーなどのディティールをきらびやかに再現できるほか、アーティスト自体が小さくしか写らない引きのショットでもステージ上のアーティストをしっかりと認識し、その精細感を向上させられる。

ライブに適したAIシーン高画質モードが搭載された。顔を綺麗に見せながらアクセサリー類の輝き感などもしっかりと再現する

引きのカットで的確にステージ上のアーティストをとらえ、最適な画層処理をする

 また、コンテンツの音声成分を認識し、音声と環境音を分離、その上で声を強く/環境音を強くなど、再生のバランスを調整できる「AI快適リスニング」機能も便利だ。

 音響面では、イマーシブサウンド 360 PROを搭載し、5.1.2ch出力に対応。Dolby Atmosにも対応する。さらに「マルチスピーカークオリティーマネジメント」により臨場感のある高音質を実現できる。65X9900Rでは18個のスピーカーを実用最大出力180Wのマルチアンプで独立駆動する。サイズは65型と55型の2モデル展開で、予想実売価格は48万4000円〜63万8000円。発売は5月23日。

 Z970Rシリーズは液晶テレビのハイエンドモデルで、Mini LEDバックライトの4K液晶パネルを採用。レグザ AIボイスナビゲーターなど、レグザ インテリジェンスの各機能も利用できる。タイムシフトマシンに対応。新開発のパネルは、従来比で約1.3倍のエリア分割数が増えており、よりきめ細かな制御ができるようになった。また、広視野角液晶パネルを採用し、斜めからでも見やすくなっている。

 音響面では「イマーシブサウンド 360 PRO」を搭載し、5.1.2ch出力に対応。Dolby Atmosにも対応する。13個のスピーカーを実用最大出力150Wのマルチアンプで独立駆動する。85、75、65型の3モデル展開で、予想実売価格は49万5000円〜88万円。発売は5月23日。

 Z770Rシリーズは新開発の4K Mini LEDバックライトを搭載したスタンダードモデルで、ピーク輝度とエリア分割数が従来比で約2倍に向上。黒の再現力を強化したという。音響面では、重低音立体音響システム Zを搭載し、Dolby Atmosにも対応している。実用最大出力60Wのマルチアンプが2wayバスレフ型メインスピーカーやトップスピーカー、重低音バズーカを駆動する。75、65、55型の3モデル展開で、予想実売価格は25万3000円〜39万6000円。発売は4月18日。

 Z670Rシリーズは新開発の全面直下型高輝度LEDバックライトを採用。こちらも音響面では重低音立体音響システム Zを搭載。Dolby Atmosにも対応する。50、43型の2モデル展開で、予想実売価格は16万5000円〜19万8000円。発売は4月18日。

設置の自由度が高いレーザー光源プロジェクターも新規投入

 最後に新カテゴリーである4Kレーザープロジェクターの「RLC-V7R MAX」について。RGB3色レーザー光源(日亜化学工業製)を搭載、設置場所の自由度が高いジンバル構造を採用し、 スタンドの可動域も左右360度、上下約135度と非常に広い。

 投影方式はDLPで、最大輝度は約3000ルーメン、BT.2020面積比で約110%、カバー率約98%と広色域。HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Visionの各HDR規格やIMAX Enhancedにも対応している。

 本体には、実用最大出力40Wの2.1chスピーカーシステムを搭載するため、持ち運んだ場所で手軽に映画を楽しむことも可能。Dolby AudioやDTS Virtual:Xにも対応している。

 また、自動台形補正、自動フォーカス調整、自動障害物回避、目の自動保護機能、壁面色自動補正などの自動補正機能を搭載し、また、光学ズームを搭載しているため、斜めから投影した場合でも、整った映像が見られる。設置場所や設置角度の自由度が高く、かつすぐに最適が画質に調整できるのが快適だ。

 本体はGoogle TVを搭載。DiXiM Playにも対応し、様々な動画配信サービスや家庭内のネットワークにある対応デバイスのコンテンツを視聴可能となっている。レグザのタイムシフトマシン録画や通常録画番組も楽しめるそうだ。

 下位モデルとなる4Kレグザレーザープロジェクターの「RLC-V7R」もRGB3色レーザー光源(日亜化学工業製)を搭載。投影方式はDLPで、最大輝度は約2000ルーメンと抑えめだが、色域やHDR対応などについては同様。

 本体スピーカーは、実用最大出力20Wの2.0chスピーカーシステム(パッシブラジエーター搭載)で、Dolby AudioやDTS Virtual:Xに対応する。スタンドの可動域は左右360度、上下約135度。自動補正機能も搭載する。

 RLC-V7R MAXの予想実売価格は37万4000円で、4月25日の発売。RLC-V7Rは29万7000円で5月中旬の発売だ。

リラックスしてみられるテレビを誰もが望んでいる

 発表会にはTVS REGZAの取締役副社長 石橋泰博が登壇。昨年、マイルストーンを達成できたレグザだが、今年も全方位ツートップ戦略を継続。有機ELと液晶テレビの2つのフラッグシップ機を頂点に、幅広い層に向けて製品の裾野を広げていこうという戦略だ。新製品の開発に当たっては「テレビの新しい価値創造」を開発コンセプトに掲げているという。

 石橋氏は「テレビの販売が難しい状況である」と言われる中、「テレビの復権を目指していきたい」とする。その上で、「テレビはもともとリラックスして見るものであり、ユーザーもそれを望んでいる。しかしながら、近年、コンテンツが爆発的に増大していくなか、前のめりでコンテンツを検索して選んでいく能動的なスタイルに変わらざるを得なかった」とコメント。しかし、これは「本来のテレビの使い方とは違っているはずだ」と指摘。リラックスしてコンテンツに没入できるテレビの復権を目指す機能として、レグザインテリジェンスのコンセプトを作ったと説明した。

 なお、CMキャラクターには、目黒蓮さんを引き続き起用。新CMも6月から放映される予定。発表会では撮影中にレグザの新機能を体験する目黒蓮さんの動画も公開され、会話でコンテンツを絞り込んでいく生成AIの体験や、音声分離の便利さや効果のわかりやすさ、小型でありながら明るいプロジェクターの画質などへの感想を述べる一幕もあった。

レグザのAI機能を体験する映像も流された

 テレビについては「それは、通じ合えるレグザ。」、プロジェクターについては「日常を変える、もうひとつのレグザ。」というキャッチフレーズで、それぞれの宣伝クリエイティブを用意し、看板などにも活用していくという。

 テレビの新しい価値を問うレグザ。レグザインテリジェンスはそのトライを有効なものにしてくれるだろうか。

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