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AIのプロに学ぶ、RTX PRO AIマシンの使いこなし術 第3回

気鋭の映像制作企業 J2BのCEOが話す、AI時代のワークステーションの使い方

AIワークステーション “Lenovo ThinkStation”は「効率的で、しかも安い」価値創造の源泉

2025年04月30日 11時00分更新

文● 編集● 貝塚怜(角川アスキー総合研究所)
インタビュー● 遠藤諭(角川アスキー総合研究所 主席研究員)
撮影● 永山透

提供: レノボ・ジャパン
協力:アスク、NVIDIA

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長期運用時のコスト面にも魅力
そしてハイブリッド体制で生まれる最大効率

 ビジネスの効率性だけでなく、サーバーエンジニアならではのリスク管理の視点も多分に影響している同社の開発環境。金CEOは、AIワークステーションのビジネスへの活用は、コスト面においても大きなメリットがあると話す。

J2B 金「私たちが使っているRTX 6000 Adaのワークステーションは、1台でだいたい150~200万円ぐらいですね。それをいま、うちは8台入れてます。初期投資で1000万円前後。でも、この投資には理由があるんです。MidjourneyとかRunwayをクラウドでゴリゴリ回すと、平均して月に数十万はかかってしまいます。重いタスクを頻繁に回していれば、年間で300万円から400万円は消えてしまいます。はじめに大きくコストをかけた方が、長期的にはランニングコストを削減できると考えました」

 クラウドのランニングコストは積み上がりが早く、「必要なときに使えない可能性がある」という“見えないリスク”もある。特にJ2Bのようにプロジェクトごとに即応性が求められる環境では、「一度投資して、あとは自由に回せる」オンプレミス環境と、クラウドを組み合わせる運用が合理的だという。

J2B 古富「私たちのような業態は、思いついたときに即座に試せる環境も必要です。でもクラウドサーバーが混んでいたり、APIの回数制限がかかっていると、そこで思考が止まってしまう。大事なのは、ローカルとクラウドの環境を分けて考えることですね」

 ローカルとクラウドを目的別に整理し、どちらも“止まらない”状態を維持する。それがJ2Bの制作体制のコアにある。

J2B 金「広告業界は今後ますます変わっていきます。AIが進化することで、広告の事業そのものが完全に変わると思います。昔は、早くて正確に仕事ができる人が優秀でしたが、“これからは新しいアイデアを生み出せること”が一番大事になってくるでしょう。それ(AIによる変革)がいい、悪いということではなく、この新しい時代に、AIをどう使うかです」

 広告や映像制作の現場がAIによって再定義される中、J2Bは創造力とテクノロジーを武器に、次の表現の地平を切り拓いている。その革新を支えるのが「NVIDIA RTX搭載AIワークステーション」。発想を即座にかたちにし、止まることなく成果を生み出すこの環境は、AI時代の同社のクリエイティブに欠かせない“戦略的インフラ”だ。

同社の開発環境をチェック!
レノボ製ワークステーションの強みとは?

 最後に、同社の開発環境を改めてチェックしよう。

 レノボ製品では、優れた信頼性とパフォーマンスが特徴のワークステーションThinkStation Pシリーズから、「ThinkStation P8」を2台、「ThinkStation PX」を2台導入。うち3台はNVIDIA RTX 6000 Adaを、1台は、RTX 5000 Adaを1枚ずつ搭載。ほかにも、RTX 6000 Adaを搭載マシンを3台導入しており、6台のRTX 6000 Ada搭載モデルはクラスター化して運用している。

 J2Bの金廷均CEO、ワークステーションやGPUの調達を支援しているアスクの大竹諭氏、レノボの高木孝之氏に、改めてコメントを求めた。

 「以前は3台でクラスターを組んでいました。最近になって、クラスターに入れる台数を増やすことで、処理能力は単純に2倍になり、遅延が減りましたし、静止画の生成もスムーズになりました。レノボのThinkStation Pシリーズは、高級スポーツカーのアストンマーチンとデザインコラボしたという赤と黒が基調のデザインも、スタイリッシュでいいと思いますよ」(J2B 金廷均氏)

アスクは、レノボのエンタープライズ向け製品のTier 1リセラー/NVIDIA RTX PROシリーズのディストリビューターであり、本記事で紹介しているJ2Bのワークステーション導入にも関わった

 「レノボのThinkStationは、製品を購入された国だけでなく、海外に持ち込んだ場合にも、 購入された国の保証期間内であれば持ち込み国の保証サービスに準じたサービスを現地の修理センターにて受けられます。 (※Lenovo国際保証サービス International Warranty Service)J2Bさんを例に挙げると、国内で使用している環境を韓国のオフィスに持っていっても、韓国のレノボ修理センターで対応いただけます」(アスク 大竹諭氏

レノボのワークステーションは、冷却技術に徹底的にこだわっている。大型のサーバーラックに、複数台を設置するようなシーンでも、排熱を抑えつつ、優れた静音性を実現できる

 「AIだけでなく、デジタルツイン、点群データ解析、ARやVR、高度シミュレーションなど、昨今のコンピューティングは、凄まじいCPU/GPUリソースとワークロードを必要とします。これは、かつてなかったレベルの熱が発生するということです。レノボは冷却技術に徹底的にこだわってきたワークステーションベンダーでもあります。常に冷えた状態が保てることで故障率は下がり、ファンノイズも低減できるでしょう」(レノボ ワークステーション&クライアントAI事業部 シニア・プロダクトマネージャー 高木孝之氏)

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