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AIのプロに学ぶ、RTX PRO AIマシンの使いこなし術 第3回

気鋭の映像制作企業 J2BのCEOが話す、AI時代のワークステーションの使い方

AIワークステーション “Lenovo ThinkStation”は「効率的で、しかも安い」価値創造の源泉

2025年04月30日 11時00分更新

文● 編集● 貝塚怜(角川アスキー総合研究所)
インタビュー● 遠藤諭(角川アスキー総合研究所 主席研究員)
撮影● 永山透

提供: レノボ・ジャパン
協力:アスク、NVIDIA

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AIワークステーション導入の理由は「すごくシンプル」

同社の社屋に設置しているサーバーラック。レノボ製品では、「ThinkStation P8」を2台、「ThinkStation PX」を2台導入しており、うち3台はNVIDIA RTX 6000 Adaを、1台は、RTX 5000 Adaを1枚ずつ搭載している

 同社は、NVIDIA RTX 6000 Adaを搭載したレノボ社製AIワークステーション6台と、RTX 5000 Ada搭載のワークステーション1台を社内に設置し、クラスター構成(※)で運用している。

 ローカルに展開されたワークステーション群は、クラウド上の各種AIソリューションとAPIレベルで緊密に連携し、ローカル側での制御判断に基づいて必要な処理をクラウドに自律的に割り振る。処理負荷が一部のノードに集中しそうになれば、クラスター全体が即座に反応し、負荷を自律的に分散。

 つまり、ローカルとクラウドが一体となって、ひとつの統合されたコンピューティング基盤として機能しているのだ。このアーキテクチャにより、同社はネットワーク遅延やセキュリティリスクを最小限に抑えつつ、スケーラブルで柔軟なシステム運用を実現している。

※複数台のコンピュータ(またはワークステーション)をネットワークで接続し、仮想的に1台の高性能なシステムとして動作させる構成。

J2B 金「社員は、クラスター化したサーバーにリモート接続して業務をしています。複数人が同時にリモート接続して使っているときも、空いているマシンのGPUに負荷を自動的に振り分けてくれ、動作は安定しています。クラスター化には、必要になればマシンを増やして、スケールアウトが簡単にできるというメリットもあります」

ワークステーションを導入した理由は「すごくシンプル」と話す金CEO

 ローカル環境で高度な処理を実現できることから、人気を集めているAIワークステーションだが、その導入にあたっては、もともと、サーバーエンジニアとしての経歴も持つ金CEOならではのポリシーがあった。

J2B 金「僕らがなぜワークステーションを導入したかっていうと、すごくシンプルな理由ですよ。“普通のデスクトップPCと同じように扱える”ってところが大きいです。たとえばラックマウント型とかブレード型のサーバーマシンって、ちゃんとした空調のある環境だったり、データセンターだったり、さまざまな前提条件が必要になるじゃないですか。設置場所も、コストも、技術的な知識も。つまり、ちゃんと環境を整えないと使えないんですよね。

 でもワークステーションは違う。もちろんセキュリティ面は考慮する必要がありますが、基本的にはケーブルを差し込めば、すぐ使える。置けば使える。すぐに業務に入れるんです。そこが一番の強みですね。過去に使っていたマシンでは故障も経験していますが、基本的には、普通のパソコンと同じ感覚で修理できます。特別な運用じゃなくて、いつもの感覚で管理できる“パソコンの親分”みたいな存在です」

 レノボ ThinkStation PX ワークステーションは、最大でGPUを4枚搭載することが可能だが、同社が1枚のみ搭載のモデルをクラスター化して複数台設置する方針を採用しているのも、ビジネスにおけるリスク管理の観点から。

J2B 金「規模の大きな企業なら、RTX 6000 Adaを4枚搭載したサーバーを複数台導入するのは、十分に考えられる選択肢だと思います。しかし、1台のみの設置で故障が発生すると、そこでビジネスは停止してしまう。GPUを含むハードウェアを複数台に分散させることには、安定した運用だけでなく、ビジネスリスクを軽減する意味合いもあるんです。コンパクトなケースにRTX 6000 Adaを1枚搭載したモデルを複数台置くのが、私たちにとっては最適解かもしれません。インフラって、やっぱり“落ちないのが正義”なので」

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