売り上げビリの営業職から起業家への逆転ストーリー。強みを見つけて手に入れた〝自分らしい働き方〟
副業を本業に。〝理想の未来〟をつかむべく、収入の安定を捨てて起業を決意
ベンチャー企業と大手企業で経験を積み、自分にとって、いい面も悪い面も見えてきた土谷さん。さらに副業に挑戦したことで、「この働き方を追求するために、起業という選択肢もあるのでは?」と考えるようになる。
「起業することで自分の目指してきた〝理想の未来〟へ辿り着けるだけでなく、その道のりすらも楽しめそうだというイメージが湧いてきました。一方で、会社員としての安定収入を失うといった大きな不安も…。しかし、事業が成功すれば収入は維持できるわけで、実際には〝やってみなければわからない〟ことでもありました」
そこで、土谷さんは自分の不安を具体的に整理し、一つずつ解決策を考えることに。「安定収入を失うなら一定期間、無収入で生きてけるよう貯金を確保しておこう」「もしうまくいかなかったら日雇いのバイトもあるし、最終的に会社員に戻る道も調べておこう」。このように〝考えられるリスク〟と〝その対処法〟を明確にしていった。
「最終的に『もし起業が失敗して会社員に戻るなら、一歳でも若いほうがいい。ならば、できるだけ早く挑戦しよう』という結論に。この思考のプロセスを丁寧に踏んだことで、納得感を持って会社を飛び出し、起業へと踏み出すことができたのです」
2018年、個人事業主として土谷さんは独立。副業時代から継続していたブログでの発信からスタートした彼女にとって最初の難関は、「初めての収益を生み出すこと」だったという。
「私は会社を辞めてブログ制作をメインとして個人事業主から始めましたが、最初は『どのようなサービスを作れるのか』が分からず、途方に暮れました。焦りの中で、『こういうのが儲かるらしい』と小耳に挟んだことなど、手当たり次第にいろいろと試した時期も(笑)。でも、3〜4か月間は収益がまったく上がりませんでした。
そんな中、〝自分の強み〟に目を向けたことで事態が好転。『何が儲かるか』ではなく、『自分にできることで、人が喜んでくれそうなことは何か』を考えた結果、営業時代にクライアントや部下の強みを見つけて喜ばれた経験を思い出し、〝お客様の強みを見つけるコーチングサービス〟をリリースすることにしたんです。その結果、初の収益が生まれ、その後もじわじわと売上が伸びていきました」
これを機に強み発掘コンサルタントとして事業を軌道に乗せることができた土谷さんだが、起業早々につまずいた原因は〝自己分析不足〟だったと振り返る。
「起業したからには早く稼がなければと焦るあまり、『何が流行っているか』『何が儲かるか』ばかりに意識がいき、そのビジネスが『自分にできるか』『自分のスタイルに合うか』『自分が情熱を持って長く続けられるか』などの視点がまったく抜け落ちていました。世の中のトレンドを学ぶことは大切ですが、それが必ずしも自分に適しているとは限りません。しかし、スモールビジネスでは『自分の提供できるもの』にフォーカスしなければ、長く続けることは難しいと痛感しました」
独立してから3年後の2021年、事業が軌道に乗ったと感じた土谷さんは「株式会社マイディアル」を設立。起業に際してはビジネスの基本的な構造や原則を学んだ。個人で元手となるお金や人脈がないまま起業するためには、極力リスクを抑えたビジネスから始める必要があると考えたからだ。
「たとえば、〝ビジネスにおいて必要最低限なものは何か〟〝コストを抑えて事業を作るにはどうすればいいか〟といったことです。〝今流行りのビジネスモデル〟〝今伸びている市場〟のような情報ではなく、原理原則的な基礎から学ぶことを意識しました。その中で、元手が少なくても集客や販売を可能にするWebマーケティングの知識は今後どんなビジネスをするにも役立つと考え、優先的に学びました」
さらに起業にあたっては、3社での経験すべてが活かされているという。
「酒類会社では儲かるビジネスの構造を学びました。自分が苦労してお酒を1本売っても微々たる利益にしかならない。その利益一つ一つを積み重ね、社員の生活を支えるだけの売上にしていかなければいけないとリアルに体感。業界ごとの構造などを考えるきっかけになったのは、まさに今のビジネス感覚にもつながっている気がします。
医療系メディアを扱う会社では、まず営業で成果を出せた経験から〝モノを売る〟というセールス全般の知識が体感レベルで身につきました。また社内外で〝人を動かす〟という対人コミュニケーションのスキルが身についたことが大きな財産です。営業として扱っていた商材にWebメディアがあったため、Webメディア・Web広告の可能性や効果なども学べました。
大手IT会社では、〝市場の課題を特定し、解決策を考えサービスを生み出す〟プロセスを学び、さらにデータ分析や資料作成スキルも磨くことができました。大規模なイベント運営やマスコミへのPRなどを体験できたのも、弊社の次なる戦略を描く上では参考になると思っています」
現在、「株式会社マイディアル」では、消費者向け事業として「社会人が適職を叶える自己分析」を主題としたキャリア支援講座とメディア運営を中心に行っている。具体的には〝自分の適職・やりたいこと・強みなどを見つける「自己分析」〟〝自分の適職を叶える「転職」〟〝自分の強みを収益化する「副業・起業」〟などをテーマとしており、オンラインで学習することが可能だ。また、法人向け事業として企業向け研修や講座の企画・開発、企業ごとの強みを活かすマーケティング・広告運用・ブランディングのアドバイスなども行っている。
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