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日本からスタートアップで世界を変える! 「UPDATE EARTH 2025ミライMATSURI」に注目せよ 第11回

株式会社Space Power Technologies「Power Gate」

充電用ケーブルの存在しない世界、それほど遠くない未来かも

2025年03月15日 16時10分更新

文● 貝塚/ASCII

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マイクロ波で離れたデバイスに給電

 「ケーブル? ああ、昔は使ってたよね」

 未来ではそんな会話がされているかも?

 ワイヤレスで、ある程度距離の離れた場所にあるデジタル機器や家電製品に給電ができたら、便利だと思いませんか?

 株式会社Space Power Technologiesが開発するのは、マイクロ波によるワイヤレス給電のシステム「Power Gate」です。

 Power Gateは、国内で制度が施行されている5.7GHz帯を利用した送電・受電システム。指向性が高く(狙った場所に向けることができ)、直進性が強い(比較的まっすぐ進む)というマイクロ波の特長を活かした長距離伝送が可能で、同社独自の技術により出力と効率の高さも実現しているといいます。

 使い方としては、アンテナ素子を持つ出力装置から、マイクロ波でレシーバーに送電します。レシーバーにUSBで接続したデバイスは、ワイヤレスで給電を受けることができます。非常にシンプルですね。現時点では、マイクロ波を向ける方向で給電対象を選べる仕様を検討しており、ひとつの給電装置から複数のデバイスに給電できるようなシステムを目指しています。

 身近なワイヤレス給電・充電の規格としては、お馴染みの「Qi(チー)」がありますが、こちらは電磁誘導の仕組みを応用したコイルを用いた仕組み。Power Gateは、離れた場所に給電できるため、実用化されれば、より便利で画期的な仕組みとなるでしょう。

 同社の公式サイトを覗いてみると、代表取締役の古川氏は「まずは地上でのワイヤレス給電によるエネルギー利用の促進に注力し、実現可能な場所からこの技術を根付かせていきたい」と述べつつも、「従来のインフラでは到底不可能だった遠方や移動体へも無線で電力を送れる日が来ると信じています」ともコメントしています。

 まずは、部屋やオフィスの部屋の中からケーブルが消え、続いて街からもケーブルが消え、やがては、どこにいても、どこからでも送電・給電ができる時代へ……かつてニコラ・テスラの思い描いた夢のようで、考えると夢が膨らみます。

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