コードカスタマイズやGemini 2.0対応でより品質の高いコード生成が可能に

個人向け無料版が登場した「Gemini Code Assist」、コア機能や最新情報をおさらい

文●福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 開発者にとって欠かせないものになりつつある、生成AIを活用したコーディング支援ツール。Google Cloudの研究チームであるDORAの最新調査によると、開発者の75%以上が日常業務でAIを利用しているという。

 GitHub Copilotをはじめさまざまな支援ツールが登場しているが、その中でGoogle Cloudが提供するのが「Gemini Code Assist」だ。2025年2月27日(米国時間)に、コード補完を実質無制限で利用できる個人向け無償版のパブリックプレビューが開始されたばかりで、試しやすい環境が整っている。

 本記事では、2025年3月6日に開催されたGoogle Cloudの「Modern App Summit ’25」のセッションの内容をもとに、同ツールのコア機能から、AIエージェント機能などの最新アップデートについて紹介する。登壇したのは、Google Cloudのアプリケーション モダナイゼーション スペシャリストである関本信太郎氏だ。

Google Cloud アプリケーション モダナイゼーション スペシャリスト 関本信太郎氏

Gemini Code Assistコア機能5選

 まず紹介されたのは、Gemini Code Assistの5つの基本機能だ。

 ひとつ目は、「AIコード生成」だ。自然言語を通じて、リアルタイムにコードを生成する。「フロー(コーディングの集中状態)を切らさないことを重視しており、各IDE内で完結するのが大きな特徴。ワンクリックで反映できたり、diff(差分)をとったりと、細かいところで作業負荷を軽減するよう工夫されている」と関本氏。

AIコード生成

 2つ目は、コードの続きを予測して提案してくれる「AIコード補完」。

 3つ目は、「ライセンス帰属確認」だ。Gemini Code Assistがコードを引用する際に、ライセンス情報を受け取れる。機能をオフにして、引用させないようにすることも可能だ。

ライセンス帰属確認

 4つ目は、「コード説明」だ。誰が書いたか分からないような古いコードでも、その処理内容などを解説してくれる。コード全体もしくは一部を対象とし、バグが含まれている場合には、修正案を提案してもらうことも可能だ。

 最後は、「テストプラン・テストの生成」だ。コードに対するテスト計画の作成からテストの実装までを任せられる。「人間では思いつかないような極端なケース(edge case)などを挙げてもらい、テストのカバレッジを上げるという使い方も可能」(関本氏)。

テストプランの生成

コードカスタマイズでコード生成の品質向上、GitHub対応のAIエージェントも

 ここからは、Gemini Code Assistの最新機能およびアップデートを紹介する。

 ひとつ目が、企業が保有するコードなどに基づき、独自のコードを提案してくれる「Code Customization」の強化だ。コード規約やルールなど固有の開発環境に沿ったコードを生成する機能で、有償版の「Enterprise」エディションで提供される。レポジトリと接続して作成されたインデックスを参照するRAGの仕組みを用いており、モデルのファインチューニングなどは必要としない。

 このCode Customizationにおいて対応するレポジトリを拡充した。SaaSやオンプレミスを問わずに、あらゆる場所のコードを参照させることができる。対応レポジトリとして、GitHub Enterprise Cloud、GitHub Enterprise、GitLab、GitLab Enterprise、Bitbucket Cloud、Bitbucket Data Centerが挙げられた。

Code Customizationの仕組み

 2つ目は、「コードレビューのエージェント」だ。今後、さまざまなAIエージェントが登場していく中で、現時点では、GitHubに対応するコードアシストのエージェント「Gemini Code Assist for GitHub」をパブリックプレビューで提供する。

 Gemini Code Assistがコードレビュー担当者となり、プルリクエストに対して、サマリーや変更ログを作成したり、コードをレビューして修正案を提示してくれたりする。レビュー部分は日本語化も可能であり、プロンプトを通じてレビューの方針などを事前に指示することもできる。

プルリクに対してサマリーや変更ログの作成、コードレビューを行う

 3つ目は、「Code Assist Everywhere」のコンセプトで進める、コード支援の他製品への拡大だ。例えば「Gemini in BigQuery」では、自然言語を通じてデータ分析やデータ処理、可視化が可能。「Gemini in Databases」では、自然言語を通じてSQLコードを生成したり、Cloud SQLのインスタンスの健全性や構成の妥当性なども聞いたりすることができる。

 他にも、FirebaseやColab Enterprise、Apigee、Application Integrationにも対応。Standardエディションでは、Firebase、Colab Enterprise、Databasesで、Enterpriseエディションではさらに、BigQueryやApigee、Application Integrationでコード支援を利用できる。

Gemini in BigQuery

Gemini in Databases

 4つ目は、「Gemini 2.0への対応」だ。Gemini Code AssistのベースとなるLLMが、Googleの最新LLMである「Gemini 2.0」に切り替わった。コードに特化してファインチューニングされており、コード生成の品質が向上している。

 最後は、個人開発者向けの無料版である「個人向け Gemini Code Assist(Gemini Code Assist for individuals)」の登場だ。現在パブリックプレビューでの提供であり、月に最大18万回(1日あたり6000回)と「ほぼ無限に近い」(関本氏)コード補完が利用できる。前述のCode Assist for GitHubも無償提供しているため、あわせて活用可能だ。

 なお、注意点として、Cloud Identity(Google Workspace)で管理されていない個人のGmailアカウントが必要となる。

 関本氏は、「Gemini Code Assistは、Code Customization機能などによって、より品質の高いコードを提案できるよう進化している。今後は、AIエージェントの活用によってより開発が便利になるため、ぜひ期待して欲しい」と締めくくった。

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