NTTデータグループは、OSSの仮想化ソフトウェア「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」を利用した仮想化基盤の管理・運用サービス「Prossione Virtualization(プロッシオーネ バーチャライゼーション)」を、2025年7月より提供開始する。
同社は、「脱VMware」を進める国内組織に対して、オンプレミス仮想化の新たな選択肢を提示すべく、仮想化基盤市場に本格参入した。新サービスでは、KVM導入の障壁を解消することで、自国・自社でコントロール可能な「システム主権の確保」のニーズに応えていく。
NTTデータの取締役常務執行役員 テクノロジーコンサルティング&ソリューション分野担当である冨安寛氏は、同サービスについて、「VMwareに肉薄するところまで機能を揃え、安心安全な仮想化基盤の運用ができる環境を提供する」と説明した。
真に重要なシステムで求められるのは「システム主権の確保」
現在、NTTデータが推進するのが、「主権(ソブリン)」を確保したシステム基盤の構築だ。冨安氏は、「日本の官公庁や金融機関のシステムを多く手掛けてきたこともあり、日本国内で、かつ日本人の手でシステムを構築・運用することに骨を砕いてきた。真に重要なシステムに求められるのは“主権”であり、いかにデータ主権や運用主権を手にするかがポイント」と強調する。
2024年10月には、金融・公共向けのクラウド基盤「OpenCanvas」のサービス拡張を目的に、オラクルの「Oracle Alloy」を採用することを発表(参考記事:NTTデータの「Oracle Alloy」採用、背景には「ソブリンニーズの変化」)。NTTデータによる運用で主権の確保を維持しながら、パブリッククラウドのニーズにも対応していく。
加えて、VMware製品の乗り換えを検討するユーザー組織に提案するのが、OSSの高い透明性によるシステム主権の確保である。多くの組織が、仮想化基盤にVMwareを採用していた一方で、OSやWebサーバー、アプリケーションサーバー、データベースなどでは、OSSが浸透しており、「仮想化基盤だけが取り残された」(冨安氏)状況だったという。
NTTデータおよびNTTグループは、2004年にOSSの専門組織を設置。専門技術者を抱えて、多様なシステムでのOSS導入や開発、サポートを続けてきた。「もう一度KVMに光をあてるべく、安定したシステム運用を実現できるのか、研究開発を続けてきた」と冨安氏。
OSSの採用実績は1000システムを超え、KVMにおいても金融業界のシステムへの適用や社内システムでの開発・運用にて知見を蓄積してきた。現在、金融機関向けに開発を進める「統合バンキングクラウド」でもKVMを採用しているという。
これらの実績や知見を基に提供されるのが、KVMを利用した仮想化基盤の管理・運用サービス「Prossione Virtualization」である。
