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オンプレ仮想化にシステム主権確保の選択肢

脱VMwareで“KVM”に舵を切る NTTデータが仮想化基盤市場に本格参入

2025年03月14日 09時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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管理ツールと専門家によるサポートでKVMの導入障壁を解消

 Prossione Virtualizationでは、KVMの導入障壁を解消する管理ツール「Prossione Virtualization Manager」と専門技術者によるプロダクトサポートが提供される。

 仮想化基盤では、複数のホストサーバーの管理や仮想マシンの移動などの操作、高可用性の担保など、高度な専門スキルが求められる。NTTデータグループの技術革新統括本部 プリンシパル・エンジニアリングマネージャである濱野 賢一朗氏は、「この課題を解決するために、難しい管理を、シンプルに一貫して実行できるツールを開発した」と説明する。

NTTデータグループ 技術革新統括本部 プリンシパル・エンジニアリングマネージャ 濱野 賢一朗氏

 濱野氏は、Prossione Virtualization Managerの特徴を4つ挙げる。

 ひとつ目が「ホストサーバー・仮想マシンの一元管理」だ。複数のホストサーバーや仮想マシン、さらにはストレージやネットワークまでをWeb UIおよびAPIにて一元管理でき、運用の煩雑さを解消する。

ホストサーバー・仮想マシンの一元管理

 2つ目が「高度な運用作業」だ。仮想マシンを起動したまま別のホストサーバーに移動させる「ライブマイグレーション」など、Web UIから高度な運用作業が可能で、ホストサーバーのメンテナンスを効率化する。リソース利用状況も自動取得できる。

 3つ目が「高可用構成」だ。ホストサーバーの故障を検知して、仮想マシンを別のホストサーバーで自動復旧させる仕組み(VM-HA)を標準で提供する。

標準で高可用性構成を提供

 最後が「継続的なアップデート」だ。定期的なソフトウェアアップデートで、順次機能を拡張して、幅広いユースケースに対応する。「システム主権と共に重要なのが、ソフトウェアのバージョンを主体的に決められることで、ニーズに応じた長期サポートも提供する」(濱野氏)。

VMwareと比べて手頃な価格で、機能も徐々に拡充

 Prossione Virtualizationは、2025年7月の提供開始を予定している。Prossione Virtualization Managerとプロダクトサポートをサブスクリプションモデルで提供するほか、オプションとしてシステムインテグレーションやトレーニングも用意する。「課題感を感じられているソフトウェアと比べると手頃な価格」(濱野氏)で、準備を進めているという。

Prossione Virtualizationのサービスメニュー

 Prossione Virtualization Managerは、2025年7月の段階では、基本的な機能を備えた「v1.0」が提供される。10月には仮想マシンの構成管理やストレージ・ネットワーク管理を追加した「v1.1」、2026年3月には仮想マシンの可用性向上やデータ移行を追加した「v1.2」を提供予定で、段階を経ながら機能拡充が進められる。

 実際の展開においては、金融機関などの大規模な仮想化基盤を必要とする領域をメインターゲットに、物理マシンが5台ほどに収まるコンパクトな仮想化基盤を構築したいという需要にも応えていく予定だ。濱野氏は、「v1.2の時点で、(VMwareと比べて)こうした組織で必要とされる機能の80%以上を実現できるのではないか」と説明した。

Prossione Virtualizationの製品ロードマップ

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