Windows 11のWindows Updateは差分の生成をさらに改良
Windows 11 Ver.21H2では、ここからさらに改良が進む。差分に適切な表現形式を使うことで、順方向差分から逆方向差分を生成できるようにした。
差分をデータの削除と挿入という操作の組合せとして表現すると、これを逆順にすることで逆方向差分となる。これにより、逆方向差分の配布を省略できる。
また、差分計算をするとき、バイナリ実行ファイル内の関数開始アドレスを調べ、関数単位での差分を計算することにした。これにより、1バイトの挿入で、後続するバイナリがすべて変更と判断されることがなくなった。また、累積アップデートのファイル構造も改良された。これにより配布ファイルサイズを40%削減したという。
Ver.22H2では、差分から更新されたファイルを生成する処理をマルチスレッド化により高速化した。また、大量にあったメタデータファイルなどを1つの大きなファイルにまとめることで転送効率を上げることができた。さらに、Windowsに含まれるLXP(ローカルエクスペリエンスパック、従来の言語パック)を減らすなどして、Windowsのインストールイメージ自体を縮小した。
また、標準添付アプリケーションの一部(メールやカレンダー、メモ帳など)は、Microsoftストアからのインストールとすることで、Windows Updateの対象外とした。
そのほかには、.NET Frameworkを機能更新プログラムに含めるようにした。それまでは、個別のアップデートとして配布されており、Windowsがアップデートされて再起動すると、OSの更新が検出されて、対応した.NET Frameworkをインストールが開始され、最後に再起動がなされる。このため2回の再起動が必要だった。しかし、単一のアップデートとすることで、1回の再起動で済むようになった。
24H2で導入されたCheckPoint累積アップデート
これまでの累積アップデートでは、差分の起点を初期状態(RTM)としていた。しかし、Windows 11 Ver.24H2以降では、新しい「CheckPoint累積アップデート」が導入され、差分の起点を前回のCheckPoint累積アップデートとする。このため、変化量が少なく、差分情報が小さくなる。
2025年1月末に配布された、Windows Insider ProgramのDev/Betaチャンネルプレビュー版OSビルド26120.3073は、CheckPoint累積アップデートとして配布された。
Windows 10/11での改良で、Windows Updateによる再起動の数は減り、再起動に要する時間も短くはなった。ダウンロードやファイルのアップデートなどをWindowsを動かしたまま、バックグラウンド処理でできようにしたからだ。
ただし、大規模なアップデートでは、Windowsを終了させてからのインストール処理が長く、再起動が完了するまでの時間が長い。1つには、デバイスを検出してデバイスドライバのレイヤーを構築するのに時間が掛かっているようだ。今後、改良されるとしたら、このあたりだろうか?

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