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「ユーザー視点に立つこと」の難しさと、それを乗り越えるための実践的な手法を学ぶ

“顧客が本当に必要とするもの”は? 函館高専×TDCソフトのUXデザイン教育

2025年02月12日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「UXデザインをすべての人の“あたりまえ”にしたい」

 TDCでは、これまで保険代理店向けのシステム刷新、ガス会社や物流会社向けのUXデザイン支援、システム開発会社向けのUI評価とUXデザイン研修、食料/飲料卸売業向けのUXデザイン内製化支援といった事例を手がけてきた。

 TDCとUXデザインを専業とするデザイン会社との違いは何か。酒井氏は、TDCは「すべての人にとってデザインを次のあたりまえに」をミッションに掲げ、顧客企業での“UXデザインの内製化”までを目指している点だと説明する。

 「わたしたちUXデザイナーがいなくても、お客様自身でデザインを良くしていける、体験を改善していける状況を作ることが目標です。そのため、TDCのUXデザインプロセスには、一般的なプロセスに加えて『仕組み化・カイゼンアクション』を追加し、ここに注力しています」(酒井氏)

 実際の案件でも、企画立ち上げやグロースの支援だけでなく、内製化のための支援、研修やワークショップの開催支援といったものにも力を入れているという。

TDCが考えるUXデザインのプロセス。「仕組み化・カイゼンアクション」のプロセスを通じて、ユーザー自身でのデザイン改善も可能にする

 UXデザインをすべての人の“あたりまえ”に――。こうした考えに基づいて開発されたのが、函館高専でも採用されているUXキットである。「ゴール設定」「ユーザー調査/インタビュー」「カスタマージャーニーマップの作成」など、9種類のワークシートが用意されており、それぞれにアウトプットの質を自己評価できるチェックシートも付属する。ワークシートは、必要に応じて取捨選択したり、取り組む順序を入れ替えたりして活用できる仕組みだ。

 CX&UXデザイン推進室 UXデザイナーの桑名のどか氏は、UXキットの目的を次のように説明する。

 「UXキットは小学生から大学生までが対象です。デザインの未経験者でも、UXデザイナーと同じ思考をすることで、ユーザー目線でのものづくり、サービスづくりができるようになることを目的としています」(桑名氏)

UXキットのワークシート(高専生/大学生向け)の例。(左)項目に沿って書き込んでいくことで目指すべきゴールが明確になる (右)自己レビュー用のチェックシートも付属している

別のワークシート(ユーザーペルソナ分析)の例。シートは9種類あり、必要に応じて組み合わせて利用する

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